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西九州新幹線は誰のためのものなのか?~新幹線の末端区間先行開業に価値はあるのか~

みなさんこんにちは。このブログを書いている東急三崎口です。

今回は雑記です。前回の雑記ではこのブログの100記事目まで書いた時点での人気記事ランキングと100記事書いて思うことについて書きました。今回は、2022年9月23日開業予定の西九州新幹線について書きます。

西九州新幹線とは

西九州新幹線について、聞いたことが無い方もいらっしゃるかもれません。西九州新幹線は、2022年9月23日に、佐賀県の武雄温泉駅から長崎県の長崎駅までの区間を開業する新幹線です。新幹線の新規開業は、2016年の北海道新幹線(新青森駅~新函館北斗駅)以来です。とはいえ、北海道新幹線と違って西九州新幹線は、部分開業で他の新幹線とつながっていません。九州にも、九州新幹線が通っていますが九州新幹線と西九州新幹線はつながっていないわけです。この辺の詳しい話は、Youtubeのスーツ交通さんの動画で詳しく説明されていました。西九州新幹線の建設にまつわる詳しい話は、すでにYoutubeにたくさん転がっていたので、利用者目線の話を書いていきます。

新幹線の部分開業は不便

利用者の立場から考えて、新幹線の部分開業はとても不便です。というのは、他の新幹線とつながっていないため、利用するためには必ず在来線との乗り換えが発生します。これって、新幹線を使うメリットが半減していませんか。そもそも、新幹線は在来線と違う線路をわざわざ敷いて高速鉄道を実現しようとしているわけです。しかし、その「新幹線」を使うためには新幹線より遅い在来線を使わないといけないというわけのわからない話になっています。

新幹線の部分開業は不便だと言いましたが、実は部分開業自体は初めてではありません。1982年に東北新幹線が、大宮から盛岡の間で開業していますが、この時は暫定開業という形でした。(もともと、東北新幹線は東京駅始発の計画でしたが、工事の遅れから大宮から盛岡の間を先行して開業した形です。)この時は、大宮から東京の間を新幹線リレー号などを使ってリレーする形のダイヤが組まれていたそうです。つまり、東海道新幹線を使って東京に行って、東北新幹線に乗ろうとすると、東京から大宮の間は在来線に乗らないといけなかったわけです。これって、利用者からすれば不便でしかないですよね。結果的に、東北新幹線は1991年に東京まで開業しました。大宮発着の暫定開業から9年経って、やっと東海道新幹線と直接乗り換えることができるようになったわけです。

新幹線の部分開業は、もう一例あります。それは、九州新幹線です。2004年に、熊本県の新八代駅から鹿児島県の鹿児島中央駅の間が開業しました。この時、博多駅から先の九州新幹線は開業しておらず、この時の九州新幹線は他の新幹線とつながっていない状態でした。山陽新幹線の終着駅の博多から新八代駅の間は、リレーつばめという在来線特急が走っていました。新八代駅では、新幹線と在来線の対面乗り換えができる構造になっていて、一応対面乗り換えができるということで利用者への配慮はされていました。九州新幹線も、博多から新八代の間は建設されることが決まっていて、この区間が開業するまでの間の暫定措置として在来線特急でリレーする形がとられていました。(現在では、九州新幹線が全線開業したため新八代駅の対面乗り換えも廃止されています。)2011年に、博多から新八代の間が開業して、九州新幹線は博多駅で山陽新幹線とつながるようになりました。これ以降、新幹線の部分開業は無かったわけです。

今回開業する西九州新幹線はというと、長崎駅から武雄温泉駅までの間は新幹線で、武雄温泉駅から新鳥栖駅または博多駅までは在来線特急がリレーする形になります。新鳥栖駅というのは九州新幹線の駅で、計画では西九州新幹線が九州新幹線から分かれる駅になる予定になっています。山陽新幹線で博多駅まで来てから西九州新幹線を使う場合、博多駅から出る在来線のリレー特急に乗って武雄温泉駅まで行って、そこでもう一度新幹線に乗り換えて長崎駅に行くようなスタイルになります。はっきり言って不便です。

西九州新幹線が部分開業になった経緯

西九州新幹線は、部分開業ではなくて全線開業すればよかったじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。その通りなんですが、武雄温泉から新鳥栖までの間にある佐賀県が着工を認めていないので全線開業できなかったんです。(というか、武雄温泉から新鳥栖の間は現時点で着工すらされていない状態なんです。)途中の区間が着工されていない状態で開業して、部分開業と呼ぶのはどうかと思うところはありますが、計画としては新鳥栖から長崎の間に新幹線を作る計画なので部分開業となっています。

こうなったのには訳があります。佐賀県は、西九州新幹線の建設自体にあまり乗り気ではありませんでした。というのも、佐賀県の佐賀駅から福岡県の博多駅までは従来の在来線特急で1時間弱で行くことができ、本数もそれなりにあるので新幹線を新しく作るメリットがあまり無いわけです。1時間弱で行けるところに新幹線を作っても、1時間弱が30分になる程度ですからそれほどうまみがあるわけではありません。一方、長崎県は福岡県に鉄道で出るためには佐賀県を経由する必要があって、長崎駅から博多駅に行くのは在来線特急では2時間くらいかかります。新幹線を作れば、博多との行き来がしやすくなるので長崎県は西九州新幹線の建設には乗り気でした。とはいえ、新幹線を作るにしても乗り気ではない佐賀県を通らざるを得ないので、計画の時点ではこんな案を出します。それは、フリーゲージトレインを使うという話です。フリーゲージトレインとは、日本語では軌間可変電車と言い、レールの幅が違う線路を走ることができる電車のことです。日本では、在来線の線路の幅が約1m(正確には1067mm)で新幹線の線路の幅が約1.4m(正確には1435mm)となっていて、線路の幅が違っていて新幹線は在来線の線路を走ることができません。(新幹線の線路の幅は標準軌と呼ばれ、世界的には新幹線の線路の幅がスタンダードです。) そのままでは、新幹線は在来線の線路を走ることはできませんが、レールの幅が違う線路を走れる電車を開発してやれば新幹線も在来線も走れるようにできるはずだということで、フリーゲージトレインを導入する予定になりました。これで何をしたいのかというと、佐賀県は費用が掛かる割に、佐賀県にうまみがない新幹線を作りたくありませんが、フリーゲージトレインを使えば、新しく新幹線の線路を引くことなく、今ある在来線の線路を新幹線が走ることができます。長崎県が費用を負担する区間は、新しく新幹線の線路を引いてもらって、佐賀県の区間は今ある在来線の線路を新幹線が走れるようにすれば、佐賀県の負担は少ないからいいでしょうというロジックです。これが、当初の予定通りうまくいけばよかったんです。うまくいけば。

計画のキーになるフリーゲージトレインは、計画の段階ではまだ開発段階でした。つまり、実用化できるかは未定の技術を使う前提で計画を立てているわけです。(技術者の立場から考えると開発段階の技術を使う予定にしておいて、もし実現できなかった場合どうやってリカバリーするかを決めていない時点で、計画として終わっていると思いますが。) そして、結局フリーゲージトレインは実用化できませんでした。というわけで、フリーゲージトレイン使えません、どうしましょうという状態になっているわけです。佐賀県側からすると、フリーゲージトレインを使う前提で話を進めていたんだから、ここから新しく新幹線の線路を引くことは話が違うと言う立場ですし、長崎県側からすると長崎から武雄温泉まで新幹線の線路を作ったし、あとは佐賀県側の新幹線の線路を作るしかないでしょという立場のようです。冷静に考えると、佐賀県側が金銭的な負担が問題なのであれば、佐賀県の負担を減らせば解決じゃんと思ってしまいそうですが、実は新幹線を建設することには地元としては無視できない問題がもう一つあるんです。それは、並行在来線の経営分離の話です。

並行在来線の経営分離

並行在来線の経営分離なんて、鉄道に詳しい方しかご存じないかと思います。簡単に言うと、新幹線を作ったらお客さんは新幹線に流れるから、新幹線と並行して走っている在来線はJRから切り離されるという話です。これは、国鉄が分割民営化されてから開業した新幹線の並行在来線で適用されている話なので、国鉄時代に開業した路線は並行在来線も切り離されていません。例えば、東海道・山陽新幹線と並行して走っている東海道本線・山陽本線なんかがあります。

今回の西九州新幹線の場合でも、仮に現在着工されていない佐賀県の区間が新幹線として新しく開業したとすると、在来線の特急列車は無くなりかつJRが分離すると判断すれば、在来線の区間はJRから分離されます。そうすると、在来線の沿線の利用者が不便を強いられることになるわけです。これが、わかっているから佐賀県は新幹線の建設にOKを出さないと考えられます。実際に、新幹線が開業して並行在来線がJRから切り離された場合、第三セクターの形になる場合が多く、特急列車は無くなり、運賃が上がるケースが多いです。これって、在来線の沿線に住んでいる人からすると、相当不便になると思いませんか。博多まで直通していた特急列車が無くなり、(新幹線はできますが新幹線の駅が在来線の沿線の近くにできるとは限りません。)運賃が上がり、下手すると本数も減ります。これが、新幹線の建設で地元に起こるであろう未来です。

そこまで考えて、新幹線の着工に反対しているのであれば着工を許可しない佐賀県の考え方も理解はできます。しかし、長崎県側で新幹線が開業してしまった以上、佐賀県区間も新幹線を作らざるを得ないというのが私の考えです。

現状維持が一番悲劇

なぜ、佐賀県にメリットのない新幹線を作らざるを得ないかというと、現状の在来線リレー方式が一番デメリットが大きいからです。というのは、まず利用者が不便だからです。新幹線というのは、他の新幹線とつながってこそ強みを発揮できます。例えば、西九州新幹線が全線開業した場合、新大阪から長崎までの直通運転も不可能ではないでしょう。関西から長崎が一本でつながれば、アクセスが良くなります。(これは、新幹線が開業することで地元が活性化するとは一言も言っていません。おそらく、関西とのアクセスが良くなるため若者が都会に流出し、地元の活気は無くなる方向へ行くと思います。) アクセスする場合は、一本で行けるというのが思いのほかメリットになります。悲しいのが、新幹線が必要だと思っている人でも、不要だと思っている人でも、公共交通機関を使う立場に立つと、現状の新幹線部分開業が一番不便な状態だということです。新幹線は、一部でも作った以上全線作らないと作った効果を発揮することはできないので、早々に佐賀県区間を着工するのがベストな選択だと私は思っています。佐賀県区間を作らない場合、今回開業した区間の建設にかかった費用をほとんど捨てているようなものですから。とはいえ、そのまま新幹線の着工にOKを出すだけでは、佐賀県にうまみが無いので、国やJRに対して新幹線着工を許可する代わりの見返りを求めていくのが現実的な線だと思います。佐賀県は、全県で人口が80万人程度(2020年推計人口より)しかおらず、県庁所在地の佐賀市の人口も23万人程度(2022年推計人口より)です。今後、日本の特に地方の人口は減る一方ですから、人口が減っていくのを前提にしつつ、新しい産業を誘致する特区などを国から引き出したり、JR関連の企業を佐賀県に誘致したりする方が、新幹線の建設に反対するより建設的なのではないかと思ってしまいます。

まとめ

今回の記事は、2022年9月23日開業予定の西九州新幹線について書きました。記事の中でよくわからない点がありましたら、コメント欄かお問いあわせフォームからご連絡いただければお返事できるようにいたします。それでは、今回はここまでです。次回の記事でお会いしましょう。

雑記

Posted by tokyu351