みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。
今回の記事は、サラリーマンの給料は自分の頑張りや能力では決まらないことについて解説していきます。
会社で働いている人であれば、どうせ働くのであれば給料が高いに越したことはないですよね。そして、会社で仕事を頑張れば給料が上がると感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、会社で働くということを構造的に考えると、自分自身の給料を決めているのは「頑張りや能力」ではないことがわかります。
私自身、頑張りや能力で給料が決まらないことに気づいたのは最近で、新卒採用の就職活動を始める前に知っておきたかったと思っているくらいです。私自身も頑張れば給料が上がると思っていましたが現実は違うので、頑張りや能力は給料では給料が決まらないことについて具体例を出しながら解説していきます。
自分の給料を決めるものとは
会社で働いている方であれば、平日は毎日会社に行って(最近はリモートワークが普及してきて、会社に出社しない方も多いかもしれませんが)仕事をするのがルーチンになっていると思います。
結論から言うと、会社で働く場合給料を決めているのはこの4つです。
・年齢
・役職
・入社年次
なぜこの4つが給料を決めているのか解説します。
まず、一番大きく変わるのが、「どの会社で働いているか」です。というのは、会社がやっている商売の種類によって、稼ぎやすい商売と稼ぎにくい商売に分かれるからです。
稼ぎやすい商売は、利益率が高い商売です。利益の構造を考えると、売上から原価を引いたものが粗利となり、粗利から販管費(広告宣伝費と人件費)を引いたものが、営業利益になります。つまり、利益率が高いということは、それだけ販管費に費用を割くことができます。販管費に費用を割くことができるということは、人件費も上げることができます。人件費に費用を割くことができることは、社員から見ると給料が高いことを意味します。
一方、利益率が低い商売の場合、売上から原価を引いた粗利の時点でほとんど利益が残っていないなんてことがありえます。そうすると自動的に販管費に費用を割くことができないので、人件費は削られることになります。人件費が削られるということは、社員から見ると給料が低いことを意味します。
つまり、自分の働いている会社の利益率が高いかどうかが、自分自身の給料をある程度決めていることになります。
次に、同じ会社の中で給料を決める要素は「年齢・役職・入社年次」です。大きな会社であればあるほど、社員の給料はテーブルとして決まっています。給料のテーブルで考慮されるのは、年齢・役職・入社年次くらいなので、3つの要素を決めてしまうと、ほぼ自動的に給料が決まることになります。
もちろん、ここで言っている給料は「基本給」のことなので、残業時間が増えれば手元に払われる額は増えます。しかし、残業代の計算のもとになる基本給は給料テーブルで決まっているので、同じ時間働けば基本給の高い人の方がもらえる額は増えます。
給料テーブルで自分の給料が決まっていることは、ご存じの方も多いかもしれません。会社の給料テーブルで給料が決まっているということをもう少し踏み込んで考えると、自分のいる環境で給料は決まってしまうということを意味しています。ここで言っている、「環境で決まる」ということを具体例を出しながら解説します。
極端な成果報酬だとどうなるか
例として、営業の仕事をしている人がいたとします。勤めている会社は、完全な成果報酬制の給料体系になっていて、売上の10%が給料として払われるとします。この人が、年間10億円売上を上げていたとしましょう。そうすると、売上の10%は1億円です。
仮に自分が、売上の10%として年間1億円をもらえたらどうするでしょうか。私であれば、2~3年働いて2~3億円をもらって退職します。(額面年収が年間1億円にもなると、手取り額は劇的に減るので手元に年間1億円が残るわけではないので、例えばの例です。)
ちょっと極端な例を出しましたが、実際に売上に比例した給料体系の会社だったとしても、年間1億円も社員に給料を出せる会社はほとんどないはずです。その理由はなぜでしょうか。能力や頑張りに比例して給料が上がるのではあれば、年間1億円もらっている会社員がいてもいいはずです。(いないわけではないでしょうが、かなり少ないはずです。)
その理由は簡単で、給料を平均より劇的に高くすると、社員が辞めてしまうからです。年間10億円も売上を上げられる社員は、会社の中では優秀な社員なはずで、優秀な社員が辞めてしまうと会社が困ってしまいます。そうすると、ある程度は成果や頑張りに比例した給料体系になっていたとしても、一定以上の額を給料でもらえる確率は減ります。
実際、上場企業の役員クラスでも、数千万円の役員報酬であることを考えると(役員が10億円くらいもらっている会社もありますが、そういう会社で役員になる確率を考えるとほぼ0%なのでここでは、あまり考慮しません。)会社員という立場で、年間1億円を超えるような収入を得ることはほぼ不可能です。
ここで何を言いたいのかと言うと、どれだけ頑張ったとしても、どれだけ能力があったとしても、会社員として働く以上、ある程度のところで年収は頭打ちになります。というか、頭打ちになるように給料体系が設計されているはずです。
医師免許を持つ人がコンビニで働いたら
先ほどは、給料体系が完全な成果報酬制で、給料が高くなったらどうなるかということを考えてみました。今度は逆に、どれだけ優秀な人だったとしても、どれだけ頑張ったとしても、構造的に給料が上がらない例を考えてみます。
今回例にするのは、医師免許を持つ人がコンビニで働いたらどうなるかということです。
医師免許を持っているということは、医師として働くことができます。医師として働く場合、フルタイムで働いても、年収500万円を下ることはないでしょう。しかし、医師免許を持っている人がコンビニで働いたとしたらどうでしょうか。
コンビニで働く場合は、勤続年数によって多少給料が上がることはありますが、基本的には最低賃金に近い時給で働くことになります。2023年現在、大阪府の最低賃金は1023円です。最低賃金は都道府県別に決まっていて、都市部に行くほど高くなり、地方に行けば安くなります。2023年現在の最低賃金は、最高額が1072円(東京都)なのに対して最低額は853円(青森、秋田、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄)です。
ここでは計算を簡単にするために、最低賃金で働く場合の時給を1000円として考えます。
例えば、1日8時間月22日コンビニで働いたとします。そうすると、勤務時間は176時間でもらえる給料は、17万6千円です。もちろんボーナスもなく、年収に換算すると211万円です。
医師免許を持っている人は、医師として働く能力を持っているはずで、医師として働いていればもっと高い給料がもらえるはずです。しかし、医師免許を持っている人であっても、コンビニで働くと最低賃金に近い給料しかもらえません。
給料が個人の能力や頑張りで決まっているとすれば、医師免許を持っている人がコンビニで働けば給料が上がりそうですが、そうはなりません。(極端な例を出しているので、実際に医師免許を持っている人はコンビニでは働かないでしょうが。)
では、なぜコンビニで働くと最低賃金に近い給料しかもらえないのでしょうか。これには2つ理由があります。
- コンビニが利益率の低い商売だから
- コンビニの仕事が誰でもできるようにマニュアル化されているから
1の「コンビニが利益率の低い商売」だからというのは、コンビニに限らず小売業一般に言えることです。小売業の場合、他の会社が作った商品を仕入れて売るわけで、売上のうち原価が7割程度を占めます。そうすると、売上の3割しか利益にならないわけです。この利益の中から、店舗の運営費やアルバイトの給料を支払うことになるので、必然的に人件費に割ける額は小さくなります。
2の「コンビニの仕事が誰でもできるようにマニュアル化されている」というのは、利益率が低いコンビニという商売を成り立たせるうえで、必要不可欠な条件です。仕事が誰でもできるようにマニュアル化されているということは、従業員には特別な能力や資格はいらず、いつでも代えが効くということです。そうすると、特殊な技能や資格が要らないので、最低賃金で働いてもらうことが可能になります。賃上げを要求されても、「他の人にやってもらう」と言われれば、従業員は対抗することができません。
とはいえ、コンビニの仕事も覚えることは多く、誰でもすぐできるかと言われるとそうでない部分はありますが、現在でも最低賃金で求人しているコンビニが多いのは、賃上げ要求をされても、代わりの人を探してきて少し教育すれば取って代われるような構造になっているのが大きな原因でしょう。
このように、医師免許を持っている人であっても、コンビニで働くという構造の中で働くと、最低賃金に近い給料しかもらえない構造になります。ここでは、極端な例を出しましたが、例に出した「コンビニ」は、私たちがどの会社で働いているのかということと同じことです。コンビニに限らず、給料体系が安い会社で働いていれば給料は安いですし、給料体系が高い会社で働いていれば給料が高くなります。
頑張ると給料が上がっていくように見える理由
ここまで、極端な例を出して給料は自分の置かれている環境(どの会社で働いているか)で決まっていることについて解説しました。この例を見て、自分の会社は頑張れば給料が上がる仕組みになっていると感じられた方がいらっしゃるかもしれません。その感覚は、半分合っています。
特に、日本の年功序列の会社の若手の方は頑張れば給料が上がると感じる方が多いかもしれません。これには、年功序列・終身雇用を前提とした大企業の仕組みが効いています。年功序列の会社で働いていない場合は、読み飛ばしてもらって構いません。
年功序列・終身雇用を前提にした給料体系の場合、若手のうちは出世にあまり差がつきません。10年弱は、同期がある程度横並びに昇進していくシステムになっているはずです。しかし、裏では出世する人としない人の差がつけられています。
出世する人としない人の差が付けられている理由は、管理職に昇進するポストには限りがあるからです。極論言うと、全員が管理職になれるのであれば、管理職になる人を選抜する必要は無いですが、会社のポストには限りがあるので、管理職に昇進する人を選抜する必要が出てきます。
そうすると、仕事を頑張っていくと、昇進しやすくなって、昇進するということは給料が高くなっていく仕組みになっているので、頑張れば給料が上がると感じるわけです。ただ、頑張れば給料が高くなっていくと感じられる人は、大企業の中で出世し続けた人に限られます。
というのは、管理職になる選抜を勝ち抜いた人でも、管理職の中から課長や部長になる選抜レースが待っています。また、部長になったとしても部長になった人の中から役員になる人を選抜する戦いがあります。この選抜レースは、昇進すればするほど枠が減っていき、競争する相手が強くなっていく一種のチキンレースです。
この選抜レースに勝ち抜いた人たちが役員になるんでしょうが、役員になったとしても取締役や社長になる選抜が行われるわけです。社長は、1つの会社に1人しかいないわけで、大企業になればなるほど、出世で社長になれる確率は下がります。
何が言いたいかと言うと、新卒入社した会社で最初のうちは出世を進めていたとしても、どこかで選抜から外れる人がほぼ全員だということです。出世の選抜から外れると、役職が上がらなくなるので給料は頭打ちになります。
つまり、日本の大企業で行われている出世競争の選抜レースに乗っているうちは、頑張れば給料が上がることを実感できますが、選抜レースから外れた瞬間頑張っても給料は変わらない世界に変わります。選抜レースから外れるまでの時間が10年くらいあるのが、日本の大企業の年功序列の給料体系の仕組みです。
できるだけ高い給料を得る方法
ここまで、「自分の給料は頑張りや能力ではなく自分のいる環境で決まること」と「頑張ると給料が上がっていくように見える理由」について解説しました。それでは、できるだけ高い給料をもらうためにはどうしたらいいのでしょうか。
勤めている会社が倒産しないという前提を置いて考える場合、できるだけ高い給料を得る方法は1つしかありません。その方法とは、
「利益率が高くて給料体系が高い会社にできるだけ早く入ること」
です。
当たり前と言われれば当たり前かもしれませんが、利益率が高くて給料体系が高い会社に入ることができれば、同じ時間仕事をしたとすると、もらえる給料の額は高くなります。
そして、生涯賃金を最大化するためには、給料体系の高い会社にできるだけ長く勤めるのが効果的なので、できるだけ早く入社することが必要です。
ちなみに、給料体系が高い会社を探すために、新卒初任給を調べることはほとんど意味がありません。日本の会社は不思議なもので、新卒初任給はある程度の幅はありますが、それほど変わりません。外資系だと別でしょうが、日本の会社で給料体系が高い会社を探す場合、初任給はあてになりません。
日本で新卒カードが重視される理由
給料を高くするために必要な、「利益率が高くて給料体系が高い会社」なんてどうやったら探したらいいのかという話になります。
これさえすれば見つかりますという方法は無いんですが、上場企業であれば決算書類を必ず出しているので、会社の決算書を読むことが一番の近道になります。会社の決算書の中で基本的な、貸借対照表と損益計算書の読み方については、こちらの記事で解説しています。

会社の利益率は損益計算書を読めばわかりますし、どのくらい資産を持っているかは貸借対照表を読めばわかります。あとは、利益率の高い商売をしているかどうかを考えれば、おのずと答えは出てきます。
冷静に考えて、利益率が高くて給料体系が高い会社って、誰もが入りたいと思いますよね。倒産しにくい商売をしている会社であればなおさらです。
そういう会社は、実は新卒採用がメインで中途採用をほとんどしていないところが多いです。その理由は簡単で、給料体系が高いので社員が他の会社に移ろうとする理由が無く、利益率も高いので会社の業績が安定するかたです。
つまり、新卒採用の時点で、利益率が高くて給料体系が高い会社の内定をもらって会社に入社することが、一番の近道なんです。そして、利益率が高くて給料体系が高い会社は離職率も低いので、中途採用を取ることは少ないので、あとから転職して入ることは難しくなります。
これに気づいた時には、新卒採用なんてとうに終わったあとだったので、新卒採用前に気づいておきたかったと私自身感じました。とはいえ、今いる会社と比べて、利益率が高くて給料体系が高い会社を探すことは可能なので、もし給料を上げたいと思われている方がいらっしゃったら、あきらめずに探してみてください。
まとめ
この記事では、サラリーマンの給料は自分の頑張りや能力では決まらないことについて解説しました。サラリーマンの給料を決めているのは、自分自身が「どの会社で働いているか」と「年齢・役職・勤続年数」です。
また、日本の大企業で働いていると、若手のうちは頑張れば給料が上がるように錯覚しますが、あくまでも出世の選抜レースの期間が長く差がついていないように見えるだけで、どこかの段階で出世できなくなり、給料が頭打ちになるタイミングがきます。
そして、給料が高い会社の条件は「利益率が高く給与体系が高い会社」です。そんな会社に入るために一番簡単な道は、新卒採用の時に目当ての会社の内定をもらって入社することです。身も蓋もない話かもしれませんが、これが現実です。
おわりに
長くなりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。記事の中でよくわからない点がありましたら、コメント欄かお問いあわせフォームからご連絡いただければお返事できるようにいたします。このブログで書いている転職関連の記事を、関連記事で紹介しています。興味があれば読んでいただけると嬉しいです。Twitterもやっているので、面白かったらフォローお願いします。それでは、今回はここまでです。次回の記事でお会いしましょう。
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