半導体メモリ業界の今後のトレンドを考える

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みなさんこんにちは。このブログを書いている東急三崎口です。

この記事では、半導体メモリ業界の今後をロングスパンで見通していきます。

記事の内容は、筆者の個人的な予想ですので、参考程度にしてください。

目次

半導体メモリ業界の現在のシェア

半導体メモリ業界については、このブログで色々記事を書いていますが、まずは現在のシェアを確認していきましょう。

半導体メモリは大きく分けて、DRAMとNANDフラッシュに分かれます。

DRAM

まず、DRAMの2022年のシェアを見てみます。グラフにするとこのようになっています。

DRAMは寡占市場となっていて、Samsung・SK Hynix・Micronの3社でほぼシェアが占められています。

Samsungが40%近いシェアを握っていて、残りをSK HynixとMicronが分け合っているような状態です。

残念ながら、DRAM業界には日本の会社は残っていません。

残っていませんと書いているのがミソで、10年くらい前まで日本のDRAMメーカーはありました。

エルピーダメモリという名前で、倒産したあとMicronに吸収されました。

DRAM業界自体は、シェアが寡占化しているので、ここからシェアが大きく変動する可能性は低いです。

もし、3社のうち2社が合併することになれば、どの2社が合併しても、合併した2社でDRAMの半分以上のシェアを持つことになってしまいます。

NANDフラッシュ

次にNANDフラッシュのシェアはこちらです。

NANDフラッシュは、DRAMと比べてメーカーが多いです。

大手5社で、9割以上のシェアになっていますが、DRAMと比較すると、シェアがばらけています。

Samsung・Kioxia・SK Hynix・Western Digital・Micronの順になっています。

このうち、Samsung・SK Hynixは韓国のメーカー、Western Digital・Micronはアメリカのメーカー、Kioxiaは日本のメーカーです。

NANDフラッシュメモリは、まだ日本の会社が残っています。日本のNANDフラッシュメーカーであるKioxiaは、もともと東芝の半導体メモリ部門だったところが分離された会社なので、もともと東芝です。

業界再編の可能性

半導体メモリで業界再編の可能性があると言われているのは、NANDフラッシュメモリ業界です。

報道でも可能性が報じられているのは、Western DigitalとKioxiaの合併です。

この2社は、合併前でも協業してフラッシュメモリを作っています。Kioxiaの業績があまり良くないのが原因なのかわかりませんが、合併に向けた交渉が進んでいるとの報道がちらほら出ています。

筆者の予想としては、遅かれ早かれWestern DigitalとKioxiaは合併すると考えています。

NANDフラッシュメモリ業界

Western DigitalとKioxiaが合併したら、NANDフラッシュメモリ業界のシェアがどうなるかを考えてみます。

単純にWestern DigitalとKioxiaのシェアを足すと、このようになります。

Western DigitalとKioxiaが合併すると、Samsungに匹敵するシェアを持つことになります。

NANDフラッシュのシェアを見ると、かなりインパクトのある合併です。

遅かれ早かれ、このようなシェアになるのではないかと考えています。

NANDフラッシュの業界再編の次はどうなるのか

今回は、Western DigitalとKioxiaが合併するのは前提として、2社の合併後に半導体メモリ業界がどうなっているか、考えていきます。

SK HynixとMicronのNANDシェア競争

DRAMは寡占化が進んでいるので、シェア争いは起きにくいです。そうすると、Western DigitalとKioxiaが合併した後に、シェア争いが生じるのは、必然的にNANDフラッシュ業界になります。

再度、2社の合併後のNANDフラッシュメモリ業界のシェアを出しました。

こうなってしまうと、NANDフラッシュメモリ業界の、SK HynixとMicronのシェアが急に小さく見えてきます。

形としては、2強2弱といった形です。

特に、Micronのシェアは10%程度しか無いので、NANDフラッシュメモリ業界で戦うには圧倒的に不利な状況に追い込まれます。

日米vs韓国のシェア争い

そうなると、Micronが単独でNANDフラッシュメモリ業界で戦うのは、あまり得策ではありません。

グラフをよく見てみると、NANDフラッシュメモリ業界は、韓国勢(Samsung・SK Hynix)と日米勢(Kioxia・Western Digital・Micron)の2つに分かれていることがわかります。

Micronは単独でNANDフラッシュ業界で戦うにはシェアが小さすぎますが、DRAMのシェアはある程度持っています。

一方、Western Digital・KioxiaはNANDフラッシュのシェアは大きいですが、DRAMのシェアを持っていません。

そうすると、MicronとWestern Digital・Kioxiaが連合を組むことで、日米勢でDRAM・NANDフラッシュメモリである程度のシェアを取ることができるようになります。

半導体メモリの覇権争いはアメリカVS韓国の時代へ

MicronのNANDフラッシュメモリの立ち位置をキーに考えてきましたが、今後半導体メモリの覇権争いは、アメリカVS韓国の時代になっていくと考えられます。

先端ロジック半導体を見てみると、最先端品を作ることができるのはTSMC・Samsung・Intelですが、TSMCは台湾、Samsungは韓国・Intelはアメリカの会社です。

Intelが開発競争から脱落し始めているので、アメリカはTSMCに対する囲い込みを強めています。

半導体メモリに関しても、DRAMやNANDフラッシュを自国の会社が供給できる体制を維持したいとアメリカは考えているでしょう。

そうすると、必然的にMicron・Western Digital・Kioxiaが連合を組むような形で、韓国の2社に対抗するようになるのが自然な流れです。

結果的に、半導体メモリはアメリカVS韓国の戦いになっているのではないかと考えられます。

半導体メモリの長期的なトレンド

ここまで、半導体メモリ業界の再編について考えてきました。

半導体メモリは、製造するための設備投資が多額ですし、製品の研究開発にも非常にお金がかかります。

業界の中である程度シェアを持っていないと、設備投資や研究開発の費用を負担できなくなってしまうのは、今後も明らかです。

結果的に、設備投資と研究開発の費用を負担できる会社が残っていって、寡占市場化すると考えられます。

DRAMは既に寡占市場化していますし、NANDフラッシュメモリ業界もSamsung・Western Digital+Kioxia+Micron・SK Hynixの3つのグループに集約されていくと考えられます。

各社が競争を続けて最終的には寡占市場に行きつくのが、半導体業界の宿命なのかもしれません。

ロジック半導体・DRAMは既に寡占化が進んでいるので、近いうちにNANDフラッシュメモリ業界も寡占市場となるでしょう。

まとめ

この記事では、、半導体メモリ業界の今後をロングスパンで見通してみました。

ロジック半導体やDRAMは寡占化が進んでいますが、NANDフラッシュメモリ業界も同様の流れが進むと考えられます。

半導体業界に興味がある方や、半導体業界に転職したい方はこちらの記事も読んでみてください。

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この記事はここまでです。読んでくださってありがとうございました。

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