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半導体不足とは何なのか~元半導体エンジニアが高校生でもわかるように半導体について解説します~

2022年6月27日

みなさんこんにちは。このブログを書いている東急三崎口です。これまでカラオケについての記事をずっと書いておりました。最初の投稿の自己紹介で書いているんですが、もともと半導体関連の研究開発をやっていました。半導体と一言でいっても、かなり広い分野にわたっていて専門的な内容が多いので半導体関連の仕事をしている方でないとわからないことも多いと思っています。そこで、専門知識が無い高校生にも巷で言われている「半導体不足」がどういうものなのかがわかるような記事を目指して連載していく予定ですのでよろしくお願いします。今回の記事は、その連載のキックオフ(初回)です。

そもそも半導体って必要なの?

この記事は、半導体の知識が全くない方でも読めばわかることをコンセプトにしています。そもそも、半導体って必要なのか?と思う方もいらっしゃるかもしれません。「半導体」と一言で言いますが、使われる文脈によって示しているものが変わるんです。それについては、別の記事で詳しく説明していく予定ですが、よく使われる意味としては、「半導体で作られたコンピュータ」のことを「半導体」と言っている場合があります。この半導体で作られたコンピュータは、現代の生活では電子機器と呼ばれるものにはほぼ100%載っています。パソコンやスマートフォンの中には必ず入っていますし、洗濯機や冷蔵庫のような家電の中にも入っています。このように、半導体がどこに使われているかなんて普段考える方はいらっしゃらないでしょうが、普段生活しているだけで知らず知らずのうちに半導体のお世話になっているんです。つまり、半導体は現代の生活に必要不可欠なものになっています。

半導体って何?

それでは、半導体とは何なんでしょうか。一番狭い意味で半導体というと、電気が通りやすいか通りにくいかを人間の手でいろいろコントロールできるような材料です。厳密は定義は別にあるんですが、イメージとしてはそんな感じです。

電気が通りやすいものを思い浮かべてみてください。例えば、アルミや鉄といった金属は電気を流そうとすれば簡単に電気が流れると思います。金属のように電気を通しやすい材料を、「導体」と呼びます。

反対に、ガラス・プラスチック・木のように電気を流そうとしてもほとんど電気が流れないものもあります。これを、「絶縁体」とか「不導体」といいます。電気が流れない状態を絶縁されているというので、絶縁体といいます。また、導体ではないという意味で「不」導体と呼ぶようです。

そして、「導体」と「絶縁体or不導体」の間にあって、電気が流れるかどうかを人間の手でコントロールできる材料が「半」導体なわけです。導体ではないけれど、「半分」導体ですという意味です。これは、半導体はもともと英語の「Semiconductor」(「セミコンダクター」と読みます)を日本語に訳した言葉です。「Semi」(「セミ」と呼びます)が半分という意味で、「Conductor」(「コンダクター」と呼びます)が導体という意味です。半分+導体という英語を半導体と訳したようで、当時訳した人のセンスの良さを感じます。

半導体は、名前の通り実際の性質も導体と絶縁体の中間的な性質をもった物質です。

一言で半導体といっても、とても広い世界

一番狭い意味で半導体というと、先ほど解説した導体と絶縁体の中間の性質をもった物質のことを言います。それでは、なぜ半導体を使ったコンピュータのことまで「半導体」と呼ばれることがあるのでしょうか。それは、コンピュータを作るためには、ものすごい「純度」を高めた半導体の板の上に回路を作る必要があるからです。「純度」はあまり聞きなれない言葉かもしれません。例えば、普段飲む水道水は、ほとんどが「水」です。しかし、ものすごい厳密に見てみると「水」の他にも少しのナトリウムなどのミネラルが溶け込んでいます。普段水道水を使う分には、ミネラルが少し溶け込んでいても全く問題ありませんが、究極に純水な水を作ろうとすると少し溶け込んでいるミネラルが水ではない「不純物」となります。今回の場合、不純物と言っているのは水ではない成分(ここでいうミネラルのようなもの)のことです。話を半導体に戻すと、コンピュータの回路を作るために使われる半導体はこの不純物を極限まで減らしたものを使う必要があります。

半導体を使ってコンピュータを作る場合、いろいろな材料や機械が必要になります。純粋な半導体となる材料を作る「半導体材料会社」や、半導体材料会社が作った材料を使って回路を作る「半導体デバイス製造会社」、半導体デバイス製造会社が半導体を作るために使う機械(装置)を作る「半導体製造装置会社」、半導体デバイス製造会社が作った半導体デバイスを検査する装置を作る「半導体検査装置会社」など様々な会社があります。ここに挙げていないものも含めて、半導体の上に回路を作ってコンピュータを作るためには様々な会社や技術が必要になります。このように、さまざまな技術や会社が必要となるため半導体にかかわる会社を「半導体業界」と言って一口にひっくるめていっていることもあります。

今回は、コンピュータを例にとって説明していますが、半導体で作られるものはデバイスだけではありません。スマートフォンについているカメラの心臓部である、「イメージセンサ」も半導体で作られています。また、新幹線や変電所でスイッチとして使われる「パワーデバイス」にも半導体で作られています。このように、半導体が使われている製品も多くの製品があり、一口で半導体といっても「どの」半導体を指しているかによって、何を示しているか180度変わります。

生活していても半導体について意識することは無い

半導体は生活で必要な様々なところで使われています。しかし、皆さんが生活するうえで半導体について意識する機会ってほとんどありませんよね。これはなぜなのでしょうか。それは、半導体は動くことを前提に作られていて製品に組み込まれているからです。

例えば、家にあるパソコンが壊れたとしましょう。パソコンが壊れたことは誰もがわかります。しかし、パソコンが壊れた原因を突き詰めて考えてつきとめる人はいるでしょうか。パソコンが壊れる原因は、電源の線が切れたからかもしれませんし、内部のファンが壊れたからかもしれませんし、内部のコンピュータが物理的に壊れてしまったからかもしれません。パソコンが壊れてしまった場合、ユーザーである私たちが必要としている解決策は、「パソコンが修理できて使えるようになること」か「修理できないのであれば新しいパソコンを買う」ことの2つです。パソコンが修理できて使えるようになったとしても、どこが壊れていたのか?についてあまり興味はないでしょう。新しいパソコンを買った場合は、壊れてしまったパソコンのどこが壊れていたかなんてさらに興味はなくなります。

このように、何かの製品が壊れたときに、仮に「半導体」が壊れていたとしても、ユーザーは「製品」が壊れたと思うので半導体が自分の生活にどう影響するかは考えないで済むわけです。とはいえ、普段使っている「製品」の中には半導体が隠れていることはよくあるので、実際は半導体にお世話になっているということが起こるんです。

半導体のブラックボックス化

半導体は様々な製品に隠れていて、普段の生活をする上で半導体にお世話になっているということは先ほど解説したとおりです。しかし、普段生活するうえで半導体を意識しないことも事実です。このように、普段生活するうえで半導体を意識しないことと、半導体の技術が進歩しすぎていることから、半導体関連の会社で仕事をしていないと、実際にどうやって作られているのか?とか、どんなことに使われているのか?ということに関して全くわからなくなってしまいます。これを私は、「半導体のブラックボックス化」だと考えています。ブラックボックスというのは、中身や仕組みを理解していなくても、使うことはできるが、中身を全くいじることができなくなってしまうことです。

半導体のブラックボックス化の象徴が、「半導体不足」に関する報道です。半導体と一言で言っても、非常に範囲が広く、「どの分野」の「どんな製品」が「なぜ不足」しているのか?ということについてきっちり解説している記事は、元半導体エンジニアの方が書いた記事くらいしか見たことがありません。というか、元半導体業界にいた人でなければ、読み解くことができないといった方が正しいかもしれません。

この半導体のブラックボックス化について、私は非常に危険だと考えています。ご存じの方はご存じかもしれませんが、普段私たちが使っているスマートフォンに使われているCPU(中央演算装置のことをCPUといいます。ここでは、スマートフォンの中で一番大事な半導体だと思ってください。詳細は別記事で書きたいと思っています。)を作っている日本の会社はありません。つまり、私たちの持っているスマートフォンのCPUはすべて海外で作られたものを輸入しているということです。これは、日本に何か起こったときに日本国内だけではスマートフォン1台すら自力で作ることができないということです。スマートフォンだけではありません。最先端のCPUは、日本国内で作っている会社はありません。これは、半導体業界にいる方からすれば当たり前のことなんですが、半導体に関係しない業界の方だと全く知らない話なのではないでしょうか。これが、私が危機感をもっている理由です。そこで、半導体についてよく知らない方が、特別な知識を必要とせずに半導体について理解してもらうことが必要だと思ったことが、この記事を書き始めたきっかけです。高校物理を知らない高校生にもわかってもらえることを目標にしているので、頑張って続けていきたいと思います。

まとめ

今回は、半導体不足とは何なのかに関して解説する記事のキックオフの(1回目)でした。長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。記事の中でよくわからない点や、内容についてご指摘がありましたら、コメント欄かお問いあわせからご連絡いただければお返事できるようにいたします。次回の記事では未定です。このブログでは、「カラオケ」「雑記」「半導体」を軸に進めていきたいと思っています。それでは、今回はここまでです。次回の記事でお会いしましょう。

半導体

Posted by tokyu351