みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。
この記事では、周期表から半導体・金属・絶縁体の違いを解説します。
半導体について考える時に、まじめな本を読むとだいたいバンド理論を持ち出して説明されていることが多いです。
しかし、半導体について知りたかったはずなのに、バンド理論がわからず結局よくわからないまま終わってしまうことが多いように思います。(私自身、理工系の大学で半導体を学びましたが、最初はさっぱりわからなかった記憶があります。)
半導体を本当に理解しようとすると、バンド理論を学ばないといけません。でも、バンド理論を読み解くには少なくとも高校物理と高校化学をそれなりに勉強したうえで、数式を理解しないといけません。
半導体についてざっくり知りたい方には、バンド理論を理解するだけで大変なので、今回はバンド理論を使わずに、だいたい半導体がどんなものかを解説していきます。
初心者向け半導体講座の第1回はこちらからご覧ください。

初心者向け半導体講座の第2回はこちらからご覧ください。

周期表を覚えているだろうか
半導体・金属・絶縁体の違いを解説していく前に、周期表を見てみましょう。
周期表とは、世の中にある元素をルールに従って並べたものです。こんな見た目をしています。

たくさん、アルファベットが並んでいますね。下にはみ出している元素がありますが、これらはあとから見つかって周期表に入らなくなってしまったので、まとめて並べられているだけです。
こんな感じで元素が並んでいますが、半導体になる元素はある部分に固まっています。
世の中の元素はだいたい金属
半導体・金属・絶縁体の違いは、周期表を見ると並んでいる場所でだいたいわかります。
周期表は、縦の列を「族」横の行を「周期」と言います。例えば、真ん中あたりにあるBは、日本語で言うとホウ素で第二周期の13族のような呼び方をします。
面白いことに、1~12族の元素は左上にあるH(水素)を除いて全て金属です。
一方、金属でない元素(非金属元素といいます)は、だいたい周期表の右上の方にあります。

この図は、Wikipediaの周期表から引用しました。非金属元素と言われるのは、この図の中でオレンジ色になっている元素です。だいたい右上の方に固まっていることがよくわかります。水素だけ、非金属元素ですが左側にあります。水素の周期表での位置は、本当に一番左上でいいのか?という話はありますが、1番目の元素なので左上にあることが多いです。ちょっと、水素だけ特殊だと思ってください。
そして、半導体になる元素は金属と非金属の間にある、ベージュ色で塗られた元素たちです。
金属でない元素は金属と何が違うのか?
金属と非金属元素と半導体を周期表で見てみると、3つに分かれているように思いがちです。
しかし、構造から考えると「金属」と「金属以外」に分けられます。周期表によっては、金属と非金属元素に分けて、あえて半導体を書いていないものもあります。
金属の特徴は、表面に光沢があり、電気や熱を伝えやすく、叩いたり伸ばしたりしやすいことがあります。金・銀・銅なんかは、わかりやすい金属です。身近に使われている金属は、他にも鉄・アルミなどがよく使われています。
それでは、金属以外の元素の特徴は何なんでしょうか。
簡単に言うと金属の反対で、電気や熱を伝えにくく、叩いたり伸ばしたりしにくい特徴を持っています。(表面の光沢に関しては、半導体だと表面が光って見えるものもあるので、一概には言えないんですが、ざっくり言うとこんな感じです。)
あとは、私たちが普段生活している環境だと「気体」として存在しているものも多いです。
半導体は非金属元素の仲間
金属と、非金属の特徴を踏まえたうえで、半導体が何者か考えていきます。
半導体は、非金属の中でも電気の流しやすさが金属に近いものです。ミクロな視点から見た構造は非金属と同じです。非金属はほとんど電気を流さないですが、半導体は少しだけ電気を流すので、金属と非金属の中間と書いている場合があります。金属と非金属の中間なのは、電気の流しやすいさだけだと言っても過言ではありません。
とはいっても、半導体は純粋な材料は、電気はほとんど流しません。人間が生活している環境だと、ほんのわずかに電気を通す程度です。
非金属元素同士から作られていて、人間が生活している環境だとほとんど電気を通さないものを、絶縁体と言います。
絶縁体は、ほとんど電気を通さないもの。金属は、電気をよく通すもの。半導体は、ちょっとだけ電気を通すものだと思ってください。
半導体は単体でも元素の組み合わせでも作れる
半導体になる元素はある程度決まっています。半導体にも2種類あって、1つの元素だけで半導体になる元素半導体と、2種類以上の元素が組み合わさって半導体になる化合物半導体があります。
元素半導体になるものは限られていて、Si(シリコン)とGe(ゲルマニウム)だけです。
特徴としては、周期表で14族に位置しています。14族には、C(炭素)・Sn(スズ)・Pb(鉛)もあります。
Cは、単体で半導体として扱われることは少ないです。ただ、ダイヤモンドは広義の半導体に含まれる場合もあります。
Snは、Sn単体では金属のようなふるまいをします。(本当に中間的な物質なので、半金属と呼ばれることもあります。)
Pbは完全に金属として扱われます。
とりあえず、元素半導体はSiとGeだと考えてしまって構いません。
次に、2つ以上の元素から組み合わさって半導体になる化合物半導体です。
化合物半導体は、元素の組み合わせがたくさんありますが、組み合わせとしては、14族同士・13族と15族・12族と16族の元素のペアになることが多いです。
14族同士の化合物半導体の例としては、SiC(炭化ケイ素)やSiGe(シリコンゲルマニウム)があります。
13族と15族の場合は、GaN(窒化ガリウム)やGaAs(ヒ化ガリウム)などがあります。
12族と16族の場合は、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(テルル化カドミウム)などがあります。
金属や絶縁体と違う半導体の大きな特徴
具体的にどんな半導体があるのかは、先ほど挙げたとおりです。実は、半導体には金属や絶縁体と大きく違う特徴があります。
その特徴とは、半導体の中に混ぜ物を入れることで、電気の流しやすさを大きく変えることができることです。
先ほどの説明で、半導体は「純粋な材料は」、電気をほとんど流さないと書きました。
そう、「純粋な」材料には、電気はほとんど流れないんです。でも、半導体を作っている元素以外の元素(不純物と言います)を混ぜてやることで、電気を非常に流しやすくできるんです。
デフォルトの状態は電気が流れない状態で、不純物を混ぜてやることで電気を流しやすいところを作ることができるような感じです。
半導体デバイスは半導体の基板の上に作られますが、基本的には不純物を混ぜる場所と量を調整してやることで、電気の流れやすい場所と流れにくい場所を作ることで、電子回路を作っています。
実際には、不純物の元素の種類を変えてやってプラスマイナスを変えたり、電流が流れやすい領域の深さを変えたり、色々やるんですが、基本的な方向性は、どのデバイスでも変わりません。
まとめ
この記事では、周期表から半導体・金属・絶縁体の違いを解説しました。
本当は、バンド理論で説明した方が、説明する方としては楽なんですが、バンド理論と数式を使わずにわかりやすく書けないかという試みで書いています。わからない部分や間違いがありましたら、お気軽にコメントくださいませ。すぐ修正いたします。
このブログでは、半導体に関する記事を他にも書いています。半導体メモリ業界が中心ですが、興味がある記事があれば読んでみてください。



この記事はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。
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