結局キオクシアは今後どうなるのかを簡単に解説~自分の道を自分で決めることはできない~

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みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。

この記事では、今後キオクシアはどうなるのかを簡単に解説します。

決算解説や、WDとの協業スキーム、複雑な株主構成、メモリ不況による業績の悪化などは、個別に取り上げていますが、結局キオクシアは今後どうなるのかについて、あまり書けていなかったので、簡単に解説します。

細かい話をすると色々出てくるんですが、今回の記事は今後どうなるか?ということに焦点を絞っています。

目次

現状を確認

まず、簡単にキオクシアの置かれた現状を確認します。

2023年度の3四半期(2023年4月-12月)で、当期純利益だと2540億円の赤字です。

また、メガバンクに対して2024/6/17に返済予定の借金が少なくとも5500億円あります。

そして、キオクシアはメガバンクから行っている借金を全額返済するだけの現預金はもっていないと推定されます。
(理由は、2023/3/31現在の貸借対照表で流動資産が約6900億円しか無く、2023年度は2500億円の赤字が出ているからです。)

簡単にまとめると、メモリ不況で業績が悪化している中、東芝から売却された時に背負わされた借金の返済期限が迫っているということになります。

読者の皆さんが気になるのは、状況はわかったとして、今後どうなるの?という話でしょう。それを、ここから解説します。

キオクシアの未来を決めるもの

結局、キオクシアはどうなるのかを決めるのは、メガバンクが借金の借り換えを認めるかどうかです。

なぜかというと、2024年1-3月期に多少業績が改善しようとも、キオクシアがメガバンクから行っている借金を全額返済できるだけの現金を調達できる目途が立たないからです。

2023年10-12月期の決算を見る限り、EBITDAはかろうじてプラスに転じましたが、相変わらず赤字は続いています。

仮に、2024年1-3月期に黒字転換したとしても、5500億円以上の借金を返すだけのお金は利益からは調達できないでしょう。

2024/6/17という期日は約4か月後に迫っていますが、特段借り換えができたという情報は得られていません。

WDとの経営統合の話が出ていた頃は、経営統合ありきで借り換えを認めるような案も出ていたようですが、経営統合が破談になり借り換えは行われなかったようです。

一方で、メガバンクとしてもキオクシアの経営状況は把握しているわけで、借金の全額返済を求めても不可能なことは明らかです。

借金の全額返済を求めるということは、事実上キオクシアを倒産させることになります。そうすると、メガバンクは融資した資金が返ってこないことになります。

融資額が巨額なので、メガバンクとしても資金を引き上げたいけど引き上げられない状況にあると考えられます。現実問題として考えると、おそらく金利を上げた条件で借り換えが行われると思われます。

金利が上がるので利子負担が増えますが、借り換えが行われればとりあえずキオクシアは経営を続けていくことができるでしょう。

構造的な問題は解決できない

借金の借り換えが行われれば、しばらくは経営を続けていけますが、あくまでも借金返済の起源をの先延ばしにしたに過ぎません。

キオクシアが抱える一番大きな問題は、東芝から売却される時に押し付けられた巨額の負債です。

巨額の負債が生まれた経緯はここでは触れませんが(非常に複雑で長くなるので)、キオクシアがトータル1兆円近い負債を売却された時点で背負わされていて、その返済義務があるのは事実です。

キオクシアは、だいたい年間1兆円レベルの売上の会社なのに、売上高と同等の負債を売却された時に抱えたというのは、どれだけこの負債が大きいものかを物語っているでしょう。

つまり、借金の借り換えができれば、返済を先送りできるんですが、「どうやって巨額の借金を返すのか?」という問題は、全く解決していません。

もちろん、メモリは好況期には高い利益を叩き出す商売なので、好況期の利益で返していくのが理想です。

しかし、東芝から売却されてから、2023年10-12月期までの当期純利益を合計すると、約4500億円の赤字なので、メモリ不況があったにせよ、厳しいのは変わりありません。

巨額の負債と並んで、キオクシアが抱えている問題は、複雑な株主構成とWDとの協業です。

キオクシアの大株主は、東芝・ベインキャピタル・SK Hynix・HOYAです。そして、キオクシアはWDと協業してNANDフラッシュメモリを作っています。

それぞれが目指している方向性としては、早く株式を現金化したい東芝・HOYA・ベインキャピタル、キオクシアに一枚噛みたいSK Hynix、SK Hynixと協業されると困るWDという構図でしょう。

これだけ見ても、株主の利害が一致しないんですよね。つまり、自社の方向性を意思決定できない状況にあるということです。

半導体メモリは、好況と不況の波が大きく、迅速かつ機動的な経営判断が求められます。しかし、キオクシアが置かれているのは、機動的な経営判断ができる状況とは真逆の状況です。これが、キオクシアの抱える2つ目の問題です。

まな板の上の鯉

キオクシアの抱える問題を振り返ると、大きく2つありました。

・巨額の借金
・複雑な株主構成(経営判断能力の欠如)

2つとも、キオクシア自身がどうしようもない状況に置かれているので、おそらくどちらに関しても具体的な策は打たれないでしょう。

結果的に、借金に関しても銀行が借り換えさせてくれれば経営を続けられるし、借り換えができなければ資金ショートになるでしょう。

株主構成に関しても、どうしようもないです。(業績が回復して、IPOするくらいしか策がありません。)

つまり、今後キオクシアがどうなるかに関しては、銀行の判断次第ということになります。(私も正確に予測することができません。銀行がダメだと言ったら、どうしようもありません。)

結果的に、置かれた状況に合わせて、なるようにしかならない(景気や政府の支援含めて)、というのが結論です。

とはいえ、一番クリティカルなメガバンクへの借金の返済期限は2024/6/17なので、借り換えができるかどうかは注視しておいた方がいいと思います。

まとめ

この記事では、今後キオクシアはどうなるのかを簡単に解説しました。

できるだけ簡単に書いたので、細かい経緯は省いています。キオクシアを取り巻く問題は、技術ではなくお金のことが多いですが、致し方ないです。

東芝から売却されるときに、莫大な借金を背負うスキームが組み立てられており、借金はキオクシアが返すしかないからです。

記事の内容に明らかな間違いや、誤植、誤解を招く表現等がありましたら、コメントかお問い合わせフォームでご連絡いただけるとありがたいです。(基本的に、頂いたコメント等には全てお返事しております。)

このブログでは、半導体に関する記事を他にも書いています。半導体メモリ業界が中心ですが、興味がある記事があれば読んでみてください。

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この記事はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (6件)

  • はじめまして.
    昨年に統合の話が出た際にメガバンクが1.9兆円を融資するみたいな話があったような覚えがあります.
    政府として企業や業界への働きかけがどのように行なわれるかは存じ上げないのですが,政府としてそこまで守り切るという考えがあるので借り換えはなんとしてもさせるか,どうにもならなくなったら救済するのでは無いかと思ったりします
    加えて,昨今の円安が今年の後半まで続いた場合でも,やはり経営へのメモリ不況の影響はしばらく残るのですか?

    • Gredia様

      コメントありがとうございます。東急三崎口です。
      WDとの統合の話が出た際に、メガバンクが1.9兆円を融資するという話が出たのは事実です。
      ただ、統合すれば融資という話だったので、融資に関しては結局行われなかったと認識しています。
      ご指摘のとおり、キオクシアの問題は、政府(特に経産省だと思いますが)が絡んでいる面もあるので、
      借り換えを行わない選択肢は実質的にメガバンクには無いのではないかと私は考えています。
      (政府としてどこまで支援するのかは、読めない部分はありますが。)
      そのうえで、円安(1ドル150円前後の相場を想定しています)が2024年にも続いた場合、メモリ不況の影響が残るかどうかという件に関しては、
      NANDフラッシュメモリの市況の回復度合いによるとしか言えないというのが率直な感覚です。
      正直、円高(1ドル70~80円)よりは、現状の方がキオクシアとしては良い状況であることは間違いありません。
      しかし、円相場の影響もありますが、業績の悪化はメモリ不況による単価の落ち方の方が効いていると考えられます。
      (NANDでも好況期はメモリの単価が上がって、出荷できる物量も増えるので、為替の影響よりもメモリ市況の方が業績に与える影響は大きいと考えています。)
      NANDの市況が回復すれば、2024年内にキオクシアが黒字転換する可能性は大いにあります。
      一方で、市況回復はあったとしても、2023年からのメモリ不況は会社の財務にダメージを与えているでしょうから、そう簡単には財務状況は戻らないと考えています。
      キオクシアからすると、メモリ市況が回復して、現状の円安の為替相場が続くのが一番良いシナリオでしょう。
      これで、答えになっているかわかりませんが、もし答えになっていなければ、お問い合わせフォームからご連絡いただければ、個別にお返事いたいます。
      今後ともよろしくお願いいたします。
      東急三崎口

  • いつもありがとうございます
    経産省とメガバンクの意図が見え隠れ…
    現時点では経産省は全面的にバックアップの姿勢を見せIPOさせる、メガバンクは多少の損切り覚悟で、できるだけ回収し最後は見捨てる
    とか?
    経産省のコメントの変化も気になる
    半年前は『国内でサプライチェーン』
    今は『世界への安定供給』
    また、経産省のドキュメントの月産能力はウェハ枚数ではなくbit数にして欲しいかな
    BiCS8はニコイチかと

    根拠のない想像でしたm(__)m

    • れがし〜ぷろぐらま 様
      コメントありがとうございます。東急三崎口です。
      正直、経産省およびメガバンクが何をどこまで考えているのかは、私はよくわからないです。
      半導体関連で出ている補助金(キオクシアへのものも含みます)と、
      キオクシアに対する経営の支援は、意味合いが変わってくると思うので、最終的には政治判断になろうかと思います。

  • おはようございます
    いつも見させてもらってます
    はっきり言って危機感が足りません
    メガバンか国がまた助けるんでしょうが、何かあっても誰かが助けてくれるという思考に陥ってしまうと思いますね
    日本で最大規模のFabを所有しているから安泰だ、とは私は思いません。
    赤字を市況のせいにせず、自律的な経営をしていただきたいものですね。
    財務についても、上場してないから開示してませんが、IPOできるんですかねw

    • たろう さん
      コメントありがとうございます。東急三崎口です。
      メモリ市況が回復すれば、業績も回復すると思われます。
      正直、多額の負債を抱えていることも、株主構成が複雑なことも、どうにかできるのは経営層だけなので、
      社内で働かれている方はどうしようもないと思います。
      (もちろん、その会社で働き続けるかどうかという選択の自由はありますが。)
      とはいえ、現状NANDフラッシュを作れる会社は、日本だとキオクシアだけなので残ってほしいとは思っています。
      IPOに関しては、業績が回復したうえで、株主が売れる株価で投資家が買ってくれるかどうかで決まるでしょうから、
      最終的にGOできるかどうかは、投資家が決めるという形になるんだと思います。
      今後ともよろしくお願いします。

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