半導体をまじめに専攻したいと思ったらどんな進路があるのか?~日本で半導体メーカーは人気が無いけれど~

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みなさんこんにちは。東急三崎口です。

今回は、日本で半導体をまじめに専攻したいと思ったらどんな進路があるのかについて解説していきます。正直、今の時代は日本では半導体メーカーは人気が無いので半導体を専攻したいと思う方は少ないと思います。しかし、半導体は「産業のコメ」と言われるように様々な産業の基幹をなす重要な産業です。将来、半導体を専攻したいという方のために書いています。

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目次

高校生の時点での選択

将来的に半導体を専攻したいという方のために書いているので、高校生から会社を選ぶくらいの時間軸で書いていきます。まず、高校生の時点での選択として日本の普通高校は文系か理系かを高校2年生になるくらいのタイミングで選ぶことが多いと思います。私が高校生の頃は10年以上前ですが、高校2年制になるタイミングで文系と理系を選択させられました。結果的に私は理系を選んだんですが、半導体を将来的に専攻したい場合は理系を選ぶのが良いと思います。というか、半導体を理解しようとすると高校の物理がわからないと全く理解できないです。高校で物理をまじめに履修するのは理系に進んだ場合だけだと思うので、(10年前から教育課程が大幅に変わっていたらすいません。)半導体を専攻したい方は理系に進みましょう。

高卒で就職する場合

ちょっとした例外として、高卒で就職したい方で理系を選ばなくても半導体を専攻する方法があります。それは、半導体を作っている会社を選んで就職することです。半導体を作っている会社については、この記事の「会社の選択」の部分に書いています。特に、地元に半導体を作っている会社の工場がある場合はそこの工場に採用されれば大学に無理に進むことなく半導体に携わることができます。

大学に進学したい場合

大学に進学したい方の場合、理系を選択して高校の教育課程を履修すると、高校卒業後に進学する大学を選択することになります。大学を選択する場合、どこの大学に進むかとどの学部に進むのかを選ぶことになります。日本の場合国公立大学は前期入試と後期入試に分かれていて、それぞれ1つずつしか選ぶことができないので、国公立大学に行く場合は必然的にどこの大学に行くかを1つ選んでそこの試験を受けることになります。私立大学の場合は、入試の日がかぶっていなければいくらでも入試を受けることができます。

学部は工学部がベスト

正直、半導体を専攻したい場合はどこの大学を選ぶかどうかはあまり関係がありません。選ぶ学部の方が重要です。学部を選ぶ場合、半導体を専攻したい場合は「工学部」をおすすめします。大学によって、理工学部とか基礎工学部みたいな名前になっている場合もありますが、工学系の方向であればいいです。ただ、工学部と一口に言ってもいろいろな分野に分かれています。大学に行ってからでないと、詳しいことはわかりませんし、実感としてわかるのは入学してからだと思いますが、工学部は同じくくりの学部になっていますが、分野は本当に多岐に渡っています。半導体を専攻したい場合、工学部の中でも「応用物理系」か「電気系」の学科を選ぶのがベターです。というのは、工学部といっても溶接工学や機械工学を専門にしている専攻もあり、そういう分野だと半導体に触れる機会が格段に少なくなります。

大学での選択

とりあえず、大学進学し工学部の応用物理系か電気系に進んだと仮定して話をします。

3年生まではとりあえず進級できれば何とかなる

大学に進学して1年生の時は、一般教養の講義を取るような形になります。少し、専門分野の講義もありますが一般教養の講義が多いです。大学は、単位をいくつ取ったかによって卒業できるか決まるので単位を取るために講義を取って、卒業のための単位数を積み上げていきます。講義で取れる単位も、取れたか取れないかではなく、取れた場合でもどのくらいの点数が取れているかによって評価が変わってきます。次に書いていますが、理工系の場合は4年生になると「研究室」というところに配属されます。この研究室に配属されるときの基準が成績順で決まる場合がよくあるので、3年生までの成績は取れるに越したことはありません。まあ、成績が悪くても単位が取れていれば何とかなるとは思います。

研究室を選ぶときが一番大切

理工系の大学では、国公立私立問わず4年生になるタイミングで「研究室配属」が行われることが多いです。これは何かというと、理工系の大学で4年生では「卒業研究」という単位(単位になっていない大学もあるかもしれませんんが、卒業研究が単位になっていない場合でも卒業研究をすることが卒業の条件になっていることが多いので、実質的な単位だと解釈してください。)があり、その単位を取らないと卒業できないようにカリキュラムが組まれています。この「卒業研究」は、講義形式で行うのではなく大学にある研究室に配属されて、研究室の中で研究に取り組み、その成果を研究室の教員に認めてもらえたら単位がもらえるような形になっています。研究室についてはここでは詳しく書きませんが、大まかにいうと研究室は大学教員が所属していて研究を行っている場所です。研究室によって、研究している分野が違っています。日本の理工系の大学は、3年生までは講義形式で座学で知識を学び4年生の卒業研究で実際に研究に取り組む形になっていることが多いです。半導体を専攻したい場合は、4年生で研究室を選ぶときに自分の所属する専攻の中で半導体を研究している研究室を選ぶのがベストです。実は、半導体をやりたいと思っても自分の所属する専攻の中に半導体を研究している研究室が無いと、4年生のタイミングで半導体の研究室に進むことができないんです。というわけで、大学進学時に工学部の応用物理系や電気系の専攻を選ぶのが良いと書いたのは、この2つの専攻は半導体を研究している研究室があることが多いからです。具体的に調べる場合、「〇〇大学 半導体 研究室」と調べればどの研究室が半導体を研究しているか調べることができます。

会社の選択(デバイスメーカーに限定)

ここまで来たので、ここからは大学の工学部で半導体をやっている研究室にたどりついたと仮定して話をします。多くの方は、大学を卒業したあとどこかの会社に就職することになると思います。(個人的には、就職しなければいけないとは思いませんが、これは話がそれるので別の機会に記事にします。) 半導体は、やっていることが専門化しているので個人で取り組むことは比較的困難な産業です。ですので、仕事として半導体をやりたい場合は半導体を作っている会社を選んでそこに就職することになります。半導体に関連する産業はたくさんありますが、今回は話を簡単にするために半導体自体を作っている半導体デバイスメーカーに限定して話をします。(半導体を直接扱っている会社でも、半導体デバイスメーカーや半導体材料メーカー、半導体製造装置メーカーなど様々な会社があります。実際に半導体デバイスメーカー以外にも半導体を扱う会社は多いですが、一番直接的に半導体を製造することに関われる半導体デバイスメーカーに絞っています。)

半導体デバイスメーカーといっても、作っているデバイスによって大別できます。今回は、パワーデバイス・メモリ・イメージセンサ・その他と分けています。それぞれについて紹介します。

パワーデバイス

まず、パワーデバイスメーカーです。いきなり出てきた言葉で「パワーデバイス」があります。パワーデバイスとは、電力用半導体素子のことです。どんなところに使われているかというと、例えば電車のモーターを動かす時には直流の電気を交流に変換しています。このような電気を直流から交流に変換するときに、パワーデバイスが使われています。パワーデバイスを作っているメーカーは、国内であれば「三菱電機・富士電機・東芝」などがあります。どの会社も大きな会社なので、その会社に行ったからといって必ず半導体に携われるとは限りませんが、パワーデバイスを作っている会社です。

メモリ

次に、メモリを作っているメーカーです。国内でメモリを作っているメーカーで主なところは「キオクシア」があります。キオクシアという会社は聞いたことがないかもしれませんが、もともとは東芝の半導体メモリ部門でしたが、東芝の不正会計などなどのごたごたで分社化されて独立した会社です。過去は、メモリメーカーも日本に多数ありましたが、現在は半導体メモリを国内で大規模に製造しているのはキオクシアくらいです。

イメージセンサ

3つ目にイメージセンサです。イメージセンサは、カメラの心臓部です。身近に使われているのは、スマートフォンのカメラです。スマホのカメラにレンズがついていますが、そのレンズ1つ1つにイメージセンサが1つずつ入っています。日本でイメージセンサを作っているメーカーといえば、ソニーがあります。他にイメージセンサを国内で作っている会社はほとんどないので、イメージセンサといえばソニーという印象ですね。

その他

最後に、その他としてパワーデバイス・メモリ・パワーデバイスのくくりから外れたメーカーを紹介します。2社あります。本来はパワーデバイスのくくりに入れるべきかもしれませんが、半導体関連の様々な製品を作っているのでその他に入れた「ローム」という会社です。京都が本社の会社で、独立系の半導体メーカーです。もう一つは、「ルネサスエレクトロニクス」です。ルネサスエレクトロニクス(wikipediaのページへのリンク)は、複雑な成り立ちをしていますが、ざっくり説明すると三菱電機・日立製作所・NECの半導体部門が合併して作られた会社です。(正確に言うと、昔は日本の大手電機メーカーはほとんど半導体部門がありましたが、海外との競争に勝てなくなり撤退や合併を繰り返しました。ルネサスエレクトロニクスは、先ほど紹介した3社のロジック半導体部門が時間軸のズレはありながも合併してできた会社です。この辺の経緯はとても複雑なので、機会を見て記事にしたいと思っています。) 車載半導体(自動車に載せる用の半導体なので、故障に対する基準が厳しい。)を作っているメーカーです。

職種の選択

半導体デバイスメーカーだけでもいろいろ紹介しましたが、実はデバイスメーカーに応募するにしても職種(部門)を選ばないといけない場合があります。これは、会社の採用方針次第ですが会社によってはどこ職種に配属されるかは会社が決める場合もあります。今回は、自分で選択できるという仮定で書きます。

量産(製造)

まず、量産です。量産部門(製造部門ということもあるかもしれません)は、半導体は工場で作るので工場でどれだけ効率良く製品を作るか?ということをメインに取り組む部門です。効率良くと一言で言ってしまっていますが、取り組むことにもさまざまなことがあります。効率を上げられれば、会社の利益が増加するので自分自身の貢献が会社にどう影響するのか直結しやすい部門です。

開発

次に開発です。開発と言われて皆さんはどんなことをイメージされるでしょうか。大学生や高校生だと想像しにくいかもしれませんが、「作れるかわからないもの」や「1個であれば作れるけど100個作るのが難しいもの」を「作る方法を考えだしたり、大量に効率良く作るためのノウハウを編み出す」ようなことをしています。想像しにくいので難しいかもしれません。大まかなイメージとしてとらえて頂ければOKです。(今回はこの程度しか書いていませんが、開発の仕事については自分自身仕事をするまでわからなかった面もあるので、個別で記事にしたいと思います。)

研究

最後に、研究です。研究は、大学の研究室でやるような研究に近いです。実現できるかわからないものを、試行錯誤を繰り返して実際に実現できる方法を探すような形です。研究は、大学の研究室まで行った方はイメージしやすいと思います。会社の研究は、大学の研究と違って実用化することありきの研究ですが、できないことをできるようにすること自体は変わりません。

どこを選んでも競合他社が強い

就職することを考えれば、会社と職種を選んで、その会社に採用されればめでたく仕事として半導体に携わることができるようになります。ここまで書いてきた段取りを踏めば、半導体を仕事にすることができると思います。ここまで書いてこれを書くのは、少しためらわれるんですが、日本の半導体デバイスメーカーは競合他社が強いです。例えば、パワーデバイスであれば世界のシェアを見るとインフィニオン・テクノロジーズという会社がトップです。また、メモリやイメージセンサであれば競合するのは韓国のサムスンです。このように、日本の半導体デバイスメーカーは日本の中のシェアはともかく、競合が激しいのでなかなか厳しい世界になります。とはいえ、これも半導体関連の仕事をしたからこそ分かった話なので、半導体を専攻してみたい方は一度、とことん仕事で半導体をやってみるのもいいかと思います。

まとめ

今回は、日本で半導体をまじめに専攻したいと思ったらどんな進路があるのかについて解説しました。長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。記事の中でよくわからない点や、内容についてご指摘がありましたら、コメント欄かお問いあわせからご連絡いただければお返事できるようにいたします。

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