みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。
今回は、雑記としてAKB48と乃木坂46のシングル売り上げ枚数を比較して、2グループのファン獲得方法の違いについて考察していきます。
前回の記事では、「キオクシアとウエスタンデジタルが合併したらフラッシュメモリ業界はどうなるのか」について書いたのに、今回はアイドルグループについて書くのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。今回の記事は、完全に書き手の趣味の世界です。とはいえ、ちゃんとグラフを書いて分析してみると興味深い結果が見えてきました。
AKB48と乃木坂46は、2000年代後半からたくさん出てきている女性アイドルグループの中では、知名度が高いTop2のグループだと言えるでしょう。それぞれのグループのCDシングル売り上げを簡単に紹介してから、2つのグループの売り上げを比較し、その違いについて考察していきます。
時系列でシングル売上を比較
まず、AKB48と乃木坂46それぞれのシングル売上を、時系列で比較していきます。
AKB48
AKB48の時系列順のシングル売り上げをグラフにすると、このようになりました。
ざっくりグラフを見ると、初期の時点では10万枚を超えていない売上が、途中から急激に増えて100万枚超えを達成しています。2021年発売のシングルでは、コロナの影響を受けて握手会が開催できない状況を受けて、売上が急減しています。
単純に売り上げを見ると、こんな形になります。グラフを作っていて驚いたのが、AKB48はコロナの影響で握手会が開催できなくなる前まで、コンスタントに100万枚以上のシングル売上を続けている点です。AKB48のCD売り上げについて、細かく見ていませんでしたが、出せば100万枚売れる状態というのは驚異的です。
乃木坂46
次に、乃木坂46のシングル売り上げを時系列で並べるとこのようになります。
乃木坂46は、初期から20万枚程度シングルの売上があって、そこから順調に売上を伸ばしていることがわかります。コロナの影響を受けて、握手会が開催できなくなった2021年以降は売上が急減しています。乃木坂46も、コロナの影響を受ける前はコンスタントに100万枚の売り上げを出せているのがわかります。
乃木坂46のCD売上の特徴は、結成時点である程度の売上がすでにあり、グラフ上に直線を書けるような順調な調子で売上を伸ばしていることです。順調な伸びをしている分、急激な伸びというのは見受けられません。
2グループを比較
AKB48と乃木坂46のCD売上を時系列順に見てきました。この2グループのCD売上を同じグラフに並べると、どうなるでしょうか。2つのグループのCD売上を、時系列順を合わせて比較したのがこちらのグラフです。
グラフを見ると、AKB48は10万枚を超えてから100万枚を超えるまでの伸び方がとても急激なことがわかります。一方、乃木坂46は、初期のCD売上はAKB48よりも高いですが、売上が100万枚に到達するのは、時間がかかっていることがわかります。
また、コロナの影響を受けて握手会が開催できなくなったあとの売上は、AKB48も乃木坂46も同じような落ち方をしています。ほとんど重なっているようなトレンドになっています。女性アイドルグループのCD売上に対して、いかに握手会という存在が重要であったかがよくわかる結果です。
結成日からの経過日数でシングル売上を比較
ここまでは、時系列で2グループのCD売上を比較してきました。しかし、AKB48と乃木坂46は結成日が違うので、あまりフェアな比較ではありません。そこで、2つのグループのCD売上を、結成日からの経過日数を基準に比較していきます。
AKB48
AKB48の結成日からの経過日数に対する、CD売上はこのとおりです。
グラフの形は、時系列で見た場合と代り映えしないんですが、結成からの経過日数を見ると、最初の3年はほとんどCDが売れていないことがわかります。最初の3年くらいは、10万枚も売れていないくらいなので、全盛期と比べると10分の1以下です。
乃木坂46
乃木坂46の結成日からの経過日数に対するシングル売上はこのようになります。
乃木坂46は結成時から順調な伸びを示しています。結成から約3年(1000日)で50万枚を超えています。約6年(2000日ちょっと)で100万枚を超えているので、50万枚を超えるまでのペースと同じくらいの勢いで100万枚まえ到達していることがわかります。
ちなみに、シングルが1枚1000円だったとすると、100万枚売れると1000円×100万枚=10億円になります。アイドルグループがシングルを100万枚売るということは、10億円の売上を作っていることになるわけです。年間で数枚シングルを発売することで、シングルだけで年間数十億円の売上になると考えると驚異的ではないでしょうか。
2グループを比較
さて、結成日からの経過日数をAKB48と乃木坂46で比べてみましょう。2つのグループのシングル売上を同じグラフ上に示したのがこちらです。
このグラフで着目したいのが、乃木坂とAKBで売上が逆転しているポイントです。初期の売上は、乃木坂の方が高いにもかかわらず、結成から1500日くらいでAKBが逆転しているんですね。乃木坂の伸び方も順調ではあるので、いかにAKB48のCD売上の伸び方が急激だったのかを物語っています。
また、どちらのグループも100万枚を超えるとある程度安定して100万枚を超えていることもわかります。
AKB48の急激な売上の伸びについてもう少し考えてみます。普段あまり目にするとはないかもしれませんが、対数グラフを使って売上の伸びを見てみます。
対数グラフは、指数関数的に増えるものの分析に使うグラフです。あまりにもAKB48の売上の伸びが急激だったので使ってみました。そうすると、AKB48は結成から800日くらいから、1900日くらいにかけて対数グラフで表すと直線になるような伸びをしています。
対数グラフで直線になるということは、指数関数的に伸びていることを示しています。ざっくり計算すると、2年ちょっとでシングル売上が40倍くらいになっていることになります。近似直線を引いたりして、年換算でどのくらい伸びているのかを計算しようとしましたが、急激すぎてあまり意味のない数字になってしまいました。
無理矢理近似して計算すると、年率3.83倍くらいの伸びだったので年3830%増ということになります。年率3800%で元本が増えますという投資話があったら確実に詐欺ですが、AKBのシングルの売上の伸びは驚異的であることがわかります。
ファン獲得方法の違い
ここまで、AKB48と乃木坂46のCD売上についてみてきました。この2つのアイドルグループは、似ているように見えますが、CD売上の伸び方を考えるとアイドルグループの売り方が大きく違うことがわかります。
AKB48の特徴は、秋葉原に専用劇場があって、ファンが直接会えることでした。一方、乃木坂46は専用劇場を持たず、テレビで冠番組がありますが、ファンが直接会おうとするとライブか握手会に行くことが必要です。
乃木坂46は、PR方法がテレビ番組での冠番組や映像媒体での露出がメインです。映像媒体でのPRであれば、一度に多数の人に対して広告することができますが、媒体を見た人が他の人を誘う行動にはつながりにくいです。例えば、自分が観たいテレビ番組があるときに、わざわざ他の人を誘って観る人は少ないですよね。
一方、AKB48は映像媒体の露出もありましたが、専用劇場を持っているというのがコアになっています。専用劇場に行けば会えることのデメリットは、知名度が低いうちは人が集まらないことです。極論、どれだけいいモノだったとしても世の中の人が誰もその存在を知らなければ、買ってくれる人はいないわけです。
専用劇場を持っていることのメリットとしては、劇場に来てくれるファンが他の人を連れてきてくれる可能性が高いことです。人に勧めたくなるほど良いコンテンツであれば、自然に口コミで広がっていきます。
口コミでの広まり方は、テレビで広告を打つよりはゆっくりです。10人しかファンがいなければ、10人のファンが1人ずつ知り合いを連れてきたとしても、10人しか劇場に来てくれる人は増えません。しかし、ファンが10000人になれば、10000人が1人ずつ知り合いを連れてくれば、10000人増えるわけです。
ここで、シングルの売上の伸び方の違いに戻ります。AKB48と乃木坂46のシングル売上の伸び方の差は、PRの仕方が大きく違うところが顕著に出ていると考えられます。
AKB48は、専用劇場をコアコンテンツにしているため、最初はファンの数が少なく売上が少ないですが、ファンの数が増えてくると爆発的に売上が伸びています。これは、口コミをもとに知名度が上がっていき、一定以上のファンを獲得してから、急激に知名度が上昇したことを示しています。
乃木坂46は、映像媒体をメインで広告しているため、初期の知名度はAKB48より高い状態でスタートしています。しかし、専用劇場のような人が人を連れてくるコンテンツが無いため、順調に知名度は上がっていますが、爆発的な伸びはみられなかったといえます。
どちらも、世間への知名度は高いですが、知名度を上げてファンを獲得していくアプローチは大きく異なっていることがわかりました。最初は興味本位でシングルの売上を調べたのがきっかけですが、非常に面白い結果を見出すことができました。
今後の展望
AKB48も乃木坂46も、コロナの影響を受けて握手会が開催できなくなったことは、シングルの売上に大きく影響していることは明らかです。今後、握手会が再会できるようになる目途が立たないことを考えると、シングルの売上が過去のように100万枚を超えることは無いのではないかと考えています。
どちらのグループも、オンラインミート&グリ―トのような、非接触で握手会の代替になるようなサービスを提供していることから、握手会が再会されることはもうないのかもしれません。
アイドルグループとして活動していく以上、楽曲を出すことは続いていくと考えられます。新しい楽曲を出して、そのCD売上を増やすことが難しい以上、シングルの売上以外の部分で、収益化できるようなコンテンツを作っていく必要があります。シングルの売上が半分になるということは、5億円近くの売上が減ることになるわけです。
今後のグループが発展できるかどうかは、CDの売上に頼らないで収益を生み出せるコンテンツを作れるかどうかにかかっているといえるでしょう。
まとめ
今回の記事では、AKB48と乃木坂46のシングル売り上げ枚数を比較して、2グループのファン獲得方法の違いについて考察しました。AKB48と乃木坂46では、シングルの売上の伸び方の大きな違いがあり、専用劇場を持っているかどうかが、非常に大きな違いであることがシングル売上の推移をみることでよくわかります。
おわりに
長くなりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。記事の中でよくわからない点がありましたら、コメント欄かお問いあわせフォームからご連絡いただければお返事できるようにいたします。それでは、今回はここまでです。次回の記事でお会いしましょう。
コメント