みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。
この記事では、東芝未来科学館を訪れたので展示内容を紹介します。東芝未来科学館は、2024年6月末に一般公開を終了することが発表されています。
一般の方が見学できる機会は無くなってしまうので、是非見学して見たいと思って訪れてきました。
川崎駅に直結
東芝未来科学館は、JRの川崎駅に直結しています。
都心からも数十分で着くので、便利な場所にあります。
川崎駅の隣には、ラゾーナ川崎という施設がありますが、ラゾーナ川崎はもともと東芝の堀川町工場があった場所です。
もともと、東芝の堀川町工場があったところなので、ラゾーナ川崎の一角には東芝のビルが建っています。
東芝の本社機能は、浜松町ビルディングにありますが、2025年上半期までに川崎のビルに移転することが発表されています。ちょうど、写真に映っているビルです。
このビルの2階部分に、東芝未来科学館があります。
入館には事前予約が必要です。事前予約は済ませていたので、建物の中に入っていきます。
東芝製品がメインの展示
入館手続きを済ませて入って見ると、このような画面が出ていました。大人だけではなく、子供も楽しめるような構成になっていたのが印象的でした。
トピックスとして、こんな展示がありました。
世の中×東芝のトレンドを紹介という文言が印象的です。
現在の東芝の事業領域を象徴するように、インフラ・エネルギー分野の展示がメインでした。
避雷器の実物も置いてありました。
現在では、紙の切符を使う機会も減っていますが、自動改札機のスケルトンモデルも置いてありました。
このスケルトンモデルは、実際に動かすことができて、切符を入れた時の実演を見ることができました。
1秒かからないスピ―ドで、1枚の切符を処理していたので、さすがだなぁと感じました。切符を裏返して入れても、ちゃんと表面が上になって出てくるのが、一手間かかっていると思います。
超高速エレベータの展示もありました。
HDDのスケルトンモデルも置いてありました。
半導体デバイス事業もやっているので、単結晶シリコンの300mmインゴットも置いてありました。
単結晶シリコンのインゴットの横には、地味ですが超高純度ポリシリコンも置かれていました。
シリコン鉱石の実物を見たことは無かったので、貴重でした。こう見ると、石ころに見えてしまいます。
IGBT・SiC MOSFETも近くにならんでました。
照明器具の特設展示
通常展示の部分と、特設展示部分が分かれていて特設展示では照明器具について取り上げられていました。
大昔に売っていた、東芝のマツダランプが置いてあり、こんなものも残っているのかと思わされます。
照明器具には、色々な種類があって、戦時中の灯火管制用の電球もありました。
照明器具関係で一番印象的だったのが、マンモス電球です。
赤いボタンを押すと、光る東芝の歌が流れ始めるんです。ある程度以上の世代の方は、光る東芝の歌はご存知だと思います。
ご存じない方向けに、Youtubeに上がっていたものを載せておきます。
歴史を感じさせる展示品たち
常設展示の中には、東芝の歴史を並べているヒストリーコーナーがあります。
過去の東芝の製品がずらっと並んでいて、大量にあるんですが、いくつかピックアップします。
最初は、万年時計です。
東芝の創業者である、田中久重が作ったものだと言われています。
1925年のラジオ受信機もありました。この機能は、現代では半導体チップ1つでおそらく実現可能でしょう。
真空管のラジオもありました。(当時は真空管を使うのが一般的だったんでしょうが、今となっては貴重かも?)
レコードを使った蓄音機もありました。(私はレコードを使ったことは無いですが、当時は貴重だったんでしょうね。)
日本初のマイクロプログラミング式コンピュータも鎮座していました。
大きさが、けた違いです。この時代の大型コンピュータよりも、スマホの方が性能が良いことを考えると、技術の進歩を視覚的に感じることができます。
日本初のカラーテレビもありました。
画面が湾曲していることが、ブラウン管を使っていることを静かに主張しているように見えます。
ブラウン管そのものも展示されていました。
これだけの大きさのものの内部を真空にして、テレビが作られていたんだと思うと、すごいものです。
こうやってブラウン管を見ると、鉄とガラスの塊みたいなもんですね。
昔の電子レンジもありました。
世界初の日本語ワープロであるJW-10も置いてありました。ワープロの現物は初めて見ました。こんな見た目をしていたんですね。
メモリ屋から見ると貴重な展示
半導体メモリの観点から見て、貴重な展示がいくつかあったので、最後に紹介します。
世界初の1Mbit DRAMです。
今や、日本のDRAMメーカーは無くなってしまいましたが、1MbitのDRAMは日本の半導体産業が世界一だった時代の生き証人ではないでしょうか。
この3枚のチップに、黄金期が集約されているように感じます。16Mbit DRAMから13年後に東芝が汎用DRAMから撤退するとは、当時は誰も予測していなかったでしょう。
そして、世界発のNANDフラッシュメモリのチップも展示されていました。
解説文にある、「NAND型のEEPROM」というのが印象的でした。現代だと、EEPROMなんて言い方はほとんどしませんが、EPROMとかUV-EPROMとかがあった自体に作られた製品なのでNAND型がのEEPROMという表現になっているんだと考えられます。
半導体メモリのエポックメイキングなので、型番まで撮ってしまいました。
東芝が生みだしたNANDフラッシュメモリは、事業売却を経てキオクシアが製造しています。次世代メモリはなかなか出てこないことを考えても、NANDフラッシュメモリを生み出せる技術者を抱えていた東芝という会社のすごさは色褪せないと感じます。
「半導体メモリの歴史に東芝あり」ということを無言で語っていた、NANDフラッシュとDRAMの展示が一般公開されなくなってしまうのは少し寂しいです。
最後は、CMOSイメージセンサ搭載のデジカメです。
東芝もCMOSイメージセンサを作っていたんですね。
CCD全盛の時代に、CMOSイメージセンサを搭載してデジカメを作れるだけの技術力があったのは、さすがという感覚になります。
まとめ
この記事では、東芝未来科学館を訪れたので展示内容を紹介しました。
私は、たまたま都合が合って、閉館前に訪れることができました。無料で入ることができて、これだけの展示がそろっているのは非常に驚きました。
本当は多くの方に見て頂けると良かったんですが、6月末までとなってしまいました。
訪れたことが無い方にも、東芝未来科学館の展示を味わっていただけたら幸いです。
内容が間違っている部分がある場合は、ご連絡いただけると嬉しいです。
このブログでは、半導体に関する記事を他にも書いています。半導体メモリ業界が中心ですが、興味がある記事があれば読んでみてください。
この記事はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。
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