みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。
この記事は、長期連載の第1回として、半導体デバイスの序章(p1-13)について書いていきます。
前回の記事である、第0回はこちらです。

本連載で扱っているのは、S.M.Sze著の半導体デバイス第2版の日本語訳verです。興味のある方は、下記リンク先から見てみてください。
序章のポイント
連載の1回目の記事なこともあって、流れを掴み切れていませんが、書き始めています。
初回なので、序章の内容で数学的な部分はほとんど入ってきませんが、背景知識の必要レベルと、ポイントは冒頭に書くようにしていきます。
数学的な内容は出てこないので、高校生レベルであれば読めると判断しています。
まず、序章のポイントを列挙します。
【ポイント】
・半導体産業は成長を続けている
・CMOSはNMOSとPMOSで構成され、非常に重要なデバイスである
・半導体デバイスを作るうえでは、製造プロセスが重要である
半導体の概観
序章は、半導体デバイスの概観を述べていて、半導体産業の成長性や、デバイスの種類、製造プロセスが簡単に触れられています。
半導体産業の成長
半導体デバイスの性能は、年々伸び続けています。(今のところ)
原著のp10には、DRAMの記憶密度を横軸年号、縦軸容量でプロットした図が載っています。実データが2000年までのものになっています。
この図で重要なのは、「片対数グラフ」で直線に乗るということです。
片対数グラフは、理工系の大学に行くと普通に使いますが、なじみが無い方もいらっしゃるかもしれません。
片対数グラフで直線に乗るということは、指数関数的に増えている(簡単に言うと、年2倍のくらいのペースだと思ってください)ということを意味しています。
簡単な例を出してみましょう。
2つの図を出しています。どちらの図も、オレンジ色は指数関数的な増加と、青色は一次関数的な増加を表しています。


どちらの図も、数値は同じですが、グラフの縦軸が違います。1枚目の図は、縦軸をただの数字の順に並べていて、2枚目の図は、縦軸を対数で表示しています。
1枚目の図だと、オレンジの線が2006あたりから立ち上がっているように見えます。しかし、片対数グラフにしてみると、ずっと同じ増加率で増えていることがわかります。
片対数グラフについて、よくわからない方は、こちらのリンク先がわかりやすいので、読んでみてください。
https://controlabo.com/logplot
さて、ここで1チップ当たりのトランジスタ数のグラフを見てみましょう。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87より引用。元リンク先はhttp://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ですが、リンク切れしてしまっているようです。)
横軸年号、縦軸が1チップあたりのトランジスタ数です。縦軸は、対数目盛となっています。
縦軸が対数目盛で、点が直線に並んでいるため、1チップ当たりのトランジスタ数は指数関数的に増えていることがわかります。
かつ、この図からわかる驚異的な点は、1970年代から2010年代まで、指数関数的な増加が続いていることです。
少なくとも40年近く、指数関数的な性能向上が続く産業は半導体産業くらいか無いのではないかと思います。
今回は、1チップあたりのトランジスタ数を例に出しましたが、半導体デバイスは指数関数的な成長が続いているのは間違いありません。
CMOS
原著では、CMOSはPMOSとNMOSから作られていて、非常に重要なデバイスだと述べられています。(p8)
最終的には、CMOSの動作原理や製造方法を理解できれば、それだけで半導体デバイスとプロセスの基礎を学んでいるようなものです。
あとで山のように出てくるので、序章では詳しく書いてありませんが、CMOSの動作と製造プロセスを理解するのが、この本の目的です。序章なので、このくらいにしておきます。
製造プロセス
製造プロセスについては、エピタキシャル成長やら、チョクラルスキ法やら、MOCVDやらが書かれていますが、これらについても、のちほど触れるので詳しくは書きません。
半導体デバイスを作るプロセスは、様々な工程を何度も何度も繰り返して、最終的な製品が出来上がることだけを覚えておいて下されば大丈夫です。
覚えておくべきこと
序章なので、数式や専門用語は少なかったと思います。
この記事の中で覚えておいてほしいことは、この3つです。
この内容は、プロやある程度学んだ方からすれば、当たり前の話なんですが、インターネット上にある記事として、初心者の方が読まれる時のことを考えて記載しています。
「当たり前じゃん」と思われた方は、読み飛ばしてください。加えて、「そうなんだ」と思われた方は、是非覚えておいてください。
初めて半導体を学ぶときには、「色々書いてあるけどどこがポイントなの?」と感じることが多いと思います。
そんな方の学習の一助になれば、幸いです。
まとめ
この記事では、S.M.Szeを読み解く連載の第1回として半導体デバイスの序章(p1-13)について書きました。
序章なので、数式や専門用語は少なく軽めの内容ですが、こんな感じでS.M.Szeの半導体デバイスについて書いていけたらいいなと思っております。
ご意見・コメント等あれば、遠慮なく下さいませ。
このブログでは、半導体に関する記事を他にも書いています。半導体メモリ業界が中心ですが、興味がある記事があれば読んでみてください。





この記事はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。
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