すずめの戸締まり2回目を観ての考察~観るつもりがなかった友人との目線の違い~

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みなさんこんにちは。このブログを書いている東急三崎口です。

今回は、観るつもりのなかった友人を連れてすずめの戸締まりの2回目を観てきたので、2回目を観て気づけた考察について書きます。正直に言うと、すずめの戸締まりは1回観ただけでは物語の流れを掴むだけで精一杯だったので、2回目を観ることで作品への理解が少し深まりました。それでも、謎が残る部分も多いです。

この記事は、すずめの戸締まりを観ているor内容を知っている前提で書いています。まだ観られていない方は、ぜひ劇場でご覧になってください。映画の概要も記事にしていますが、なかなか文章だけで内容を理解するのは難しいと思います。(自分で書いていながらそう感じるので、興味がある方は劇場で観るのが一番です。)

目次

戸締まり2回目

すずめの戸締まりは、新海誠さんの最新作です。11/11(金)公開で初日に1回目を観てきました。初日に観に行ったときは、新海誠本とsptifyのリンク先が書かれたカードが渡されていました。11/13(日)に2回目を観に行ったときは、新海誠本だけの配布になっていました。おかげで、家に新海誠本が2冊並んでいます。

観るつもりがなかった友人を連れて行く

2回目を観に行くにあたって、1人で行ってもよかったんですが、観るつもりのなかった友人も来てくれることになりました。その友人は、すずめの戸締まりを観るつもりもなく、映画館も1年近く行ってなかったようですが、無理矢理説得(?)をしてみてもらうことになりました。

君の名は。との違い

とりあえずすずめの戸締まりを観て、感想を含めて内容について話すことができました。私自身はすずめの戸締まりは、観る価値のある映画だと自信を持って誘ったわけですが、つまらなかったと言われたら残念だなぁと思っていました。結果、友人の感想は面白かったと言ってくれたので少し安心しました。友人は、新海誠さんの作品は「君の名は。」は観ているようなので、君の名は。との対比した感想を持っていました。

友人曰く、「「君の名は。」は主人公二人が出会うところで時間軸のずれが生じていて、時間軸のずれに違和感を持ってしまった。すずめの戸締まりは、現世の中では時間軸のずれが生じていないから違和感は感じなかった。」とのことでした。これは、読者の方が「君の名は。」を観ている前提で書いていますが、友人の指摘は正しくて、私自身は時間軸のズレについて結構適当に流していましたが、別の友人も時間軸のズレが納得できないと言っていたことを思い出したわけです。

ここで、少し考えてみると「君の名は。」でも「すずめの戸締まり」でも主人公には超自然的な力を持っています。「君の名は。」であれば、場所の違う場所に住む男女が入れ替わる力、「すずめの戸締まり」であれば常世を観ることのできる力のことを超自然的な力と言っています。超自然的な力を主人公が持っていることには違和感を持たないのに、時間軸のズレが生じていることには違和感を持つのはなぜなのか?ということを友人に問いました。その理由としては、超自然的な力はあくまでも映画の中の設定でありそこを疑うと物語が成立しないが、時間軸のズレに関しては作品を作るうえでいくらでもいじることができるので、作品の中で矛盾が生じているとそこは違和感を感じるとのことでした。それを聞いて、私自身納得したところがありました。映画の世界であろうと、タイムリープなどの特殊な設定を除けば現実世界を描いている世界での時間軸は、基本的に戻らないのが前提なので、そこに一貫性を持たせることはかなり重要なポイントなのではないかと思います。

そういう面では、「君の名は。」で時間軸のズレに関して違和感を持たれた方でも、すずめの戸締まりでは時間軸のズレの違和感を持つことは無いと思います。直接的な時間軸のズレを生じさせずに、疑似的なタイムリープを作っているのがすずめの戸締まりの設定の面白さなのではないかと思います。この疑似的なタイムリープを可能にしたのが、次に紹介する「扉」の力です。

扉が物語にもたらす効果

今回、すずめの戸締まりで重要な役割を果たしているのが、扉です。作中では後ろ戸と呼ばれていて、これが開いていると常世からミミズが現世に出てきて地震を引き起こしてしまいます。この扉を境に、現世と常世の世界がつながっています。常世は、すべての時間が一緒にある世界・死者の世界だと言われています。この、常世という世界は、現世とは違う世界で死者の世界かつ、すべての時間が一緒にある世界という設定なので、扉を開いた先に行くことができれば、時間軸がずれていても問題ない世界設定になっています。

映画の冒頭で、4歳の鈴芽が常世に迷い込んで亡くなった母を探しているシーンが出てきます。そして常世の中で、母のような人に出会うところが回想されています。冒頭での回想はここまでですが、最後まで観るとわかりますが、ここで4歳の鈴芽が出会ったのは16歳の鈴芽だったわけです。4歳の鈴芽が16歳の鈴芽に会うというのは、「現実世界の時間軸はズレない」という大前提を置くと、現世の世界では実現できない場面設定なわけです。しかし、すずめの戸締まりでは現世とは違う常世という世界が作られていて、常世には現世から「扉」を開けないという設定を置くことで、「扉」の内側と外側という意識を観客に抱かせ、時間を超えて同一人物が出会うという、一見設定不可能そうな場面を描くことに成功しているのではないかと思います。個人的には、この設定の一番のカギとなっているのが「扉」であり、扉は一見すると物理的な仕切りに見えますが、本質的な役割は2つの世界の分離になっているんだと思います。

ダイジンと鈴芽の関係性

ここで、1回目に観た時にはちゃんと理解することができなかった、ダイジンと鈴芽の関係性について解説していきます。これに関しては結構、Youtubeの解説動画とかでも触れられていますが、解釈に少し幅があるので私なりの解釈を記しておきます。ご意見があれば、ぜひコメントで教えてください。

この作品で、一番謎なキャラクターはおそらくダイジンでしょう。もともと、要石だったはずが、しゃべるネコになって、鈴芽や草太を翻弄し、結局要石に戻るという、一見すると行動に一貫性が見えないキャラクターのように見えます。ダイジンと鈴芽の関係性については、時系列で整理すると、

「要石だったダイジンを鈴芽が抜いてネコの姿に戻す」

「ネコの姿のダイジンが鈴芽と草太の前に現れる」

「鈴芽がダイジンにえさを与え、うちの子にならない?と聞く」

「ダイジンが草太をイスの姿に変えてしまう」

「草太と鈴芽を翻弄して東へ向かわせる」

「東京で草太が要石となり、鈴芽がダイジンに対して姿を見せるなと拒絶する」

「宮城にたどりつき、常世でダイジンは要石に戻る」

といった形になります。これだけ見ているとよくわからないですが、鈴芽と環さんの関係性を整理すると少し見えてくるものがあります。

時系列で整理すると、

「母親を探して迷子になっていた鈴芽に環さんがうちの子になろうと言う」

「宮崎にある環さんの家で二人暮らしをする」

「草太を元の姿に戻すために東を目指すが、環さんには詳しい説明をしない」

「東京から宮城に向かおうとしているときに、環さんにつかまり一緒に宮城を目指す」

「目的地に向かう途中のサービスエリアで、環さんと鈴芽はぶつかり、環さんがそれまで思っていた黒い感情を鈴芽にぶつけ二人の関係性が崩壊する」

「目的地まで20kmで車が故障し、自転車に二人が乗っている間に和解する」

「常世から戻った鈴芽は、宮崎に戻り環さんと生活する」

ダイジンと鈴芽の関係性だけを見ると、一見鈴芽が被害者のような見え方になりますが、鈴芽と環さんの関係性を見ると、鈴芽が環さんに対してダイジンのような立場になっていることが見えてきます。

私は、1回目に観たときにダイジンが常世で要石に戻ることになった理由が良く理解できなかったんですが、2回目に観てやっとわかりました。「ダイジンと鈴芽」の関係性と「鈴芽と環さん」の関係性はシンクロしていて、常世に行く前の段階で鈴芽と環さんはいったん関係性が壊れましたが和解しています。つまり、鈴芽と環さんの関係性で和解にあたるものが、常世でダイジンが要石に戻ることだったということです。

2回目を観ても理解できない謎たち

物語における「扉」の効果や、ダイジンと鈴芽の関係(鈴芽と環さんの関係も含めてですが)に関しては、2回目を観ることで理解できるようになりました。しかし、2回目を観てもわからない謎がたくさん残っています。考察サイト等も観ていきますが、有力な解釈があれば教えていただけると幸いです。2回目を観てもわからなかった謎を列挙しています。

  • なぜ宮崎には現世に要石があったのか
  • 宮崎の後ろ戸を開いた時に、鈴芽に常世が見えなかったのはなぜなのか
  • 宮崎の次に愛媛に行く設定をした理由は何なのか
  • サダイジンはどうやって出てきたのか
  • 東京の要石は誰が抜いたのか
  • 宮城で入った常世が燃えていた理由
  • 宮城で入った常世でミミズに要石を刺したあと世界が草原になった理由

結構謎は残っているんですが、逆に言うとこれだけ解釈の余地が残っているというのは、考える立場からすると面白いです。今後も矛盾のない考察を進めていけたらいいなと思っています。

まとめ

今回は、すずめの戸締まりの2回目を観ることで気づけた考察と、友人の視点を含めて紹介しました。長くなりましたが、今回の記事はここまでです。記事の中でわからないことがあったり、明らかに違うだろうと思われることがありましたら、コメント等をいただけると嬉しいです。関連記事に他の考察記事を貼っています。それでは、次回の記事でお会いしましょう。

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