みなさんこんにちは。このブログを書いている東急三崎口です。
この記事では、Micronの2023年度第三四半期の決算について解説します。
決算内容
まず、2023年度3Qの決算を見ていきます。
結論から言うと、Micronは先期(2023年度2Q)から連続で赤字でした。
DRAM・NAND別の売上高
Micronは、半導体メモリ専業メーカーでDRAMとNANDフラッシュメモリを作っているメーカーです。
Micronは、DRAMとNANDフラッシュメモリのそれぞれで、売上高を開示しています。
それぞれの売上高を、グラフにするとこのようになります。
アメリカの会社なので、売上高はドル単位で書かれています。
Micronは、DRAMとNANDフラッシュメモリの売上比率がだいたい7:3となっています。
グラフを見ると、DRAMの売上高が急減して、2023年度は横ばいになっています。
NANDフラッシュメモリは、緩やかに売上高が減少して、2023年度3Qはわずかに増加しています。
2022年度後半から、半導体メモリは非常に厳しい市況になっていました。
厳しい状況自体はあまり変わっていませんが、底を打ったように見えます。
売上高推移
次に、Micronのトータルの売上高を見ていきます。
トータルの売上高を見ると、2023年度1Qから3Qまでほぼ横ばいとなっています。
2022年度3Qから売上高が急減していましたが、売上高の減少は止まって、横ばいの状況となっています。
売上高自体は横ばいになったので、半導体メモリの市況としては下げ止まったという印象です。
利益額
最後に、利益を見ていきます。
粗利・営業利益・純利益を並べています。
粗利は、売上高の減少に伴って急激に減少していました。
2023年度3Qでは、2Qと比較して赤字ではありますが粗利・営業利益・純利益ともに増えています。
売上高は、2Qと比較して横ばいでしたが、利益の観点からすると、2Qより改善しています。
利益の観点から見ると、Micronの業績は底を打ったのではないかと考えられます。
財務内容
ここまで、売上高と利益について見てきました。
次に、Micronの財務内容を見ていきます。
貸借対照表
財務内容を見るために、貸借対照表を見てみます。
Micronの財務内容は非常に良いです。
半導体メモリの市況が悪い時期が続いていましたが、そんな時期がしばらく続いていても負債が少ないです。
流動資産で、流動負債・固定負債のすべてをまかなうことができます。
半導体メモリの市況が悪い状況が、ある程度続いたとしてもすぐに経営が傾くことはないと考えられます。
半導体メモリ業界は儲かっている時に大きく儲けられるので、儲かっているときの利益を着実に蓄積している結果が、財務体質が良いことにつながっています。
Micronの特徴
他の半導体メモリメーカーと比べたときのMicronの特徴は2つあります。
・DRAM中心の売上構成
・アメリカの会社
DRAM中心の売上構成になっているのは、Micronの大きな特徴です。
他にも半導体メモリメーカーはありますが、MicronほどDRAM中心の売上構成となっている会社はありません。
Samsungは、DRAMもNANDフラッシュもトップシェアを持っていますし、ウエスタンデジタルとキオクシアは半導体メモリとしてはNANDフラッシュメモリしか作っていません。
また、アメリカの会社でDRAMとNANDフラッシュメモリの両方を作っている唯一の会社であることも特徴です。
アメリカの会社でNANDフラッシュメモリを作っている会社としては、ウエスタンデジタルもあります。
しかし、ウエスタンデジタルはNANDフラッシュメモリしか作っていません。
半導体メモリとしては、NANDフラッシュメモリとDRAMの両方が必要になります。
つまり、アメリカが自国で半導体メモリを自給するためには、Micronは戦略上非常に重要です。
もともとMicronは、会社の財務体質は非常に良いです。仮に、経営が厳しくなったとしても、アメリカの半導体戦略上欠かせない会社だと考えられます。
自国で半導体メモリを作れる会社が危機に陥ったとして、アメリカがみすみす手放すことは無いでしょう。
対照的に、日本は10年くらい前に、当時日本で唯一DRAMを作れる会社であったエルピーダメモリが倒産したのを、放置した国です。
エルピーダメモリは、その後Micronに吸収されて、MicronはDRAMのシェアを増やしました。
こんな歴史的経緯があって、日本の東広島にMicronのDRAM工場(もともとエルピーダメモリの工場だったところです)があるのは、業界の人からすると有名な話です。
メモリ業界はまだ厳しいものの底打ち感
Micronの2023年度3Qの決算について見てきました。
売上高から見ても、利益から見ても、半導体メモリの市況は底を打ったように見えます。
半年前の、急激な売上の減少が止まらなかった時期と比較すると、改善してきたように見えます。
今後、市況が以前と同様のレベルまで回復すれば、Micronは自然と黒字に戻ることが予想できます。
Micronの決算を見た限りでは、市況の底打ち感を感じることができました。
では、半導体メモリの市況がなぜ回復したのかについては、はっきり理由を掴めていません。
秋に発表されると思われる新型iPhoneの需要の影響なのかな?なんて考えていますが、判然としないのが正直なところです。
まとめ
この記事では、Micronの2023年度3Qの業績について解説しました。
半導体メモリの市況が厳しい状況は少し底を打ったように見えます。
半導体業界に興味がある方や、半導体業界に転職したい方はこちらの記事も読んでみてください。
このブログでは、他にも半導体に関して記事を書いているので、興味がある方は読んでみてください。
この記事はここまでです。読んでくださってありがとうございました。
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