みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。
この記事では、パワポエンジニアに嫌気が差したら考えてみたいことと銘打って、大企業の研究開発職の方でパワポ作成の日々に嫌気が差している方向けに、一つの解を提示できたらいいなと思っています。
記事を書こうと思ったきっかけは、FC2ブログで書かれたこちらの記事です。
「新卒で入社したホンダを三年で退職しました さよなら大好きだったホンダ」
具体例として自動車メーカーであるホンダでのご経験が書かれていますが、似たようなことを私自身感じたことはありました。共感する面が非常に大きかったわけですが、一方で大企業の研究開発の仕事をやっていた頃には気づけなかったこともたくさんあったと、今となって思うことはあります。
そこで、似たような悩みを抱えている方向けに、新卒入社で大企業に入社して、資料作成に追われる日々に嫌気が差している方向けに、選択肢を提示できればいいと思っています。
パワポエンジニアに嫌気が差す理由
まずは、パワポエンジニアに嫌気が差す理由を考えてみます。
この理由はそれほど難しくありません。個別の仕事の内容はさておき、当初は「技術開発をやりたいと思って入社した」のに実際の業務内容は「パワーポイントでの資料作成が主であり、技術開発を進めることができない」状況に置かれているからではないでしょうか。
かつ、パワーポイントの資料作成と一言で書いていますが、大企業であれば資料の修正を何度も(いや、何十回も?)する必要が出てきます。
パワーポイントの修正は、上司・上司の上司・課長・部長と回ることもあり、都度都度修正が入るのがよくある話でしょう。上司や上司の上司に言われて修正したのに、課長から指摘が入れば課長の指摘のとおりに修正することになりますし、その内容がもともと自分が書いていた内容だった、みたいな話も無いわけではないはずです。
そもそも、パワーポイントでの資料作成をしたかったわけではないのに、何度も何度も資料修正を行うことが常態化して、結局自分は何をやっているのか?という疑問が湧いてくるのが、パワポエンジニアと言う文脈を使う場合の心情ではないでしょうか。
私自身、パワポエンジニアをやっていた時に、「この仕事に価値があるのか?」とよく思っていました。
一方で、パワポエンジニアという仕事が会社の中で成立する理由や、大企業の強みは大企業にいた頃には認識できていなかったとも思います。
パワポエンジニアが嫌なので転職したいと思われている方には、一度考えてみて頂きたいことがいくつかあります。
パワポエンジニアが成立する理由
まずは、パワポエンジニアが会社の中で仕事として成立する理由を考えてみます。
実際問題、エンジニアとして仕事をしていく中で、パワポの資料をいくら作っても売り上げに直結することはありませんし、モノができるようになるわけではありません。
社内でエンジニアとして仕事をしている内容で、直近の売上に貢献できる仕事は少ない場合が多いです。どちらかというと、将来の製品や将来の売上に貢献できる可能性がある仕事になってくると思います。
直近の売上には貢献しない仕事(未来のための仕事)ができているということは、会社自体に余力があることを意味しています。というのは、本当に直近の仕事で手一杯の状況であれば、未来のための仕事の割合というのは、削られる一方です。
未来のための仕事ができないと、会社としての将来の食い扶持を削っていることになるので、好ましい状況ではありませんが、直近に食えなければ未来のことを考えられないので仕方のないことです。
かつ、パワポエンジニアとして資料作成をすることが仕事になっているということは、もう一つの側面があります。それは、実働は別部隊(別部門かもしれませんが)が行う仕組みができているということです。
例えば、研究開発を行っていて、実際に製造ラインを使って試作を行う時に、パワポエンジニアという形で仕事ができている会社であれば、実働は現場や別の部門が行う形になっていることが多いのではないでしょうか。(下手したら外注先に委託かもしれません。)
つまり、パワポエンジニアが成立するということは、分業化が進んだ結果でもあり、実働を別部隊に投げる仕組みが会社の中で作られているからこそ資料作成が仕事として成立しうるということを意味しています。
小さな会社であるほどパワポエンジニアになる確率は下がる
大企業では、分業化が進んでいる故にパワポエンジニアが仕事として成立しうるわけですが、パワポエンジニアが仕事として成立しないのはどういう状況でしょうか。
一つの例としては、会社の規模が小さい場合です。
大企業は、構成員が多いので分業が進んでいますが、会社の規模が小さくなると業務を分業して専門化するほどの人数がそもそもいません。
つまり、規模の小さい会社であれば分業が進んでいないので、資料を作って人に説明してやってもらう必要性が減ります。なぜなら、説明してやってもらう人や部門がそもそも無いからです。
かつ、会社の人数が減ると承認ルートも簡素化されるので、承認をもらわないといけない人の数が減ります。これだけ見ると、規模の小さな会社だとパワポエンジニアを回避するには良いことが多いように見えますが良いことばかりではありません。
人数が少ないということは、大企業では分業して行っていた仕事を自分でやっていく必要が出てきます。要は、大企業だと良くも悪くも自分の仕事の枠が決まっていますが、小さな会社になると「自分の仕事」を枠としてはっきり切れなくなりがちです。極端な話、自分で何でもやらないといけなくなる可能性が高いです。
分業されておらず自分で何でもやらないといけないということは、もちろんマニュアルもありませんし、色々なことを自分で決めていかなければならなくなります。この点は、人によって向き不向きがあると思います。規模が小さな会社だと、良いことばかりではないことを認識していただければ十分です。
大企業でずっと働いていると見落としがちな大企業の強み
さて、小さな会社は良いことばかりではないということを先ほど書きましたが、大企業というのは大企業であるが故の強さを持っています。ただ、新卒入社で大企業に入社してずっと同じ会社で働いていたり、転職経験があっても大企業でしか働いていないと実感できない大企業の強さがあります。
要は、ずっと大企業で働いていると「当たり前」だと思っていることが、大企業から離れると当たり前ではなくなるということです。(私自身も、大企業で働いていた時には気づかなかったことがたくさんあります。)
大企業は、福利厚生が手厚く給料が高いことはもちろんですが、これら以外にも強みがたくさんあります。とりわけ強みであることを取り上げるとこのようになります。
・仕事内容が良くも悪くも分業化されている
・顧客からの信用が既に高い
・業務を回す仕組みが整っている
1つずつ見ていきます。
まず、仕事内容が良くも悪くも分業化されていることは、大企業で研究開発を行っている方であれば、弊害として捉えている方も多いと思います。仕事内容が高度に分業されているが故に、自分の仕事の範囲を越えて動くことができないのは事実です。
一方、分業化されているということは、他の仕事は他の人がやってくれる仕組みが作られているとも言えます。これは、規模が小さな会社には強みです。
自分が研究開発を行っていて、量産工場では量産のプロが仕事をしてくれているというのは、大企業では当たり前に感じられるかもしれませんが、小さな会社ではなかなか難しいです。
2つ目の、顧客からの信用が既に高いことは、大企業で働いていると見落としがちなメリットです。
社員の立場から見ても、住宅ローンやクレジットカードなどを申し込むときに、大企業勤務の場合信用が高いと判断されます。それは当然で、大企業は顧客が存在していて、今まで会社が継続できているから大企業になっているわけです。
設立して1年目の会社と、50年社歴がある大企業を比べれば、50年社歴がある大企業の信用が高いのは当然ともいえます。
また、実際に新規顧客を開拓したり、新規で取引を依頼する場合、大企業であれば社名を言えばわかってもらえることが多いですが、小さい会社だとそうはいきません。取引する場合でも会社の信用が低いと、現金前払いでしか取引してもらえないこともあります。(一般的には、納品後に支払う掛取引が多いです。)
個人としての立場でも、仕事をするうえでも、大企業が持っている「信用」は非常に強いです。大企業で働いていると当たり前に感じてしまって、強さを感じないんですが大企業の持っている最大の武器は信用です。
3つ目は、業務を回す仕組みが整っていることです。
端的に言うと、「自分が会社を辞めたとして、働いていた会社が倒産するのか?」と考えたときに、大企業の場合は倒産する可能性はほぼゼロでしょう。
では、なぜ自分が会社を辞めても会社が倒産することは無いのでしょうか。答えははっきりしていて、別の人がその業務を引き継いでいけるような仕組みが整っているからです。
大企業であれば、数人退職者が出たとしても、他の部署から人が異動してきたり、他の人が業務を肩代わりしたりして、結果的には業務が回るようになります。
これは、仕事が分業されていることも理由の一つですが、もう一つの側面として分業して業務を回しやすい仕組みが整えられていることもあります。
例えば、資料などを格納するデータベースがきっちり整備されていたり、組織体系として部・課・係などに分けられていたり、研究開発部門と量産部門が分かれていたり、具体的に挙げるときりがありませんが、分業することで会社全体として業務が回るように仕組みができているわけです。
大企業で働かれている方から見ると、そんなの当たり前では?と感じられると思います。でも、小さな会社になると当たり前では無いんです。分業に合わせた仕組みづくりが完成されているのは、大企業が大企業たる強さの1つなんです。
ここまで、大企業で働いていると見落としがちな3つの強みを見てきました。
福利厚生や給料が大企業の強みだと言われがちですが、実は「信用」と「仕組み」が大企業の一番の強みです。
会社の看板を外して自分がいくら稼げるか考えてみる
パワポエンジニアの話に戻ると、パワポエンジニアが嫌であれば別の会社に移ることは一つの選択肢になります。大企業から転職するのも一つの方法なんですが、もう一つだけ考えてみていただきたいことがあります。
考えてみていただきたいことは、会社の看板を外した時に自分がいくら稼げるかということです。
普段あまり考えないことかもしれません。株式などの配当である程度収入を得られる方もいらっしゃると思います。ここで、自分がいくら稼げるかというのは、自分が会社を辞めた時に仕事としていくら稼げるかということです。
なぜこんなことを書いているのかというと、自分自身大企業を辞める時にこのことをちゃんと考えていなかった経験があるからです。
私自身、会社を辞めた途端に収入が0になりました。この時に強く感じたのは、サラリーマンとして働いているときは会社の看板を使って、会社の仕事をやっていたから収入があったわけで、自分自身にそれだけの価値があって給料をもらっていたわけではなかったんだということです。
会社の看板無しで稼いでいける人は強いです。なぜなら、会社に依存せずとも自分の力で社会に価値を提供できて、その対価を受け取ることができるからです。自分の名前や自分が持っている会社の看板に、価値があることを意味しています。
逆に言うと、パワポエンジニアとして働いていて、こんな仕事をしたくないと思っていようがいまいが、会社に所属する社員としての立場があるから給料がもらえているわけです。パワポエンジニアをやるかやらないかに関わらず、このポイントだけ認識していれば、少し見方が変わるのではないかと思います。
自分の人生は自分の選択の結果であることを忘れてはならない
パワポエンジニアに限らずですが、自分の人生は自分の選択の結果であることを忘れてはならないということを、最後に書きます。
今働いている会社で働くことを決めたのは自分自身であり、強制されたものではありません。実際、退職するだけであればそんなに難しいことではありません。
退職できるかどうかに関しては、個々人の置かれた環境があると思うので一概に言えませんが、できない理由を探すのは簡単ですが、退職自体は結構簡単にできてしまいます。
ただ、今の自分の仕事が嫌で仕方ないのであれば、それは過去の自分の選択に紐づく結果であり、他人のせいではありません。会社に嫌な仕事をやらされていると感じる方がいらしたとしても、会社を辞める選択は誰にでもできるものです。
どんな選択をするかは、自分自身にかかっているのは間違いありません。
環境を変えるのも1つの方法
パワポエンジニアの仕事がどうしても合わないと感じられている方は、環境を変えるしか無いです。環境を変えるのは、同じ会社の中の部署移動もありですが、それがかなわないのであれば転職するしかないでしょう。
転職を考えた場合には転職サイトに登録するのが手っ取り早いので、いくつか転職サイトを紹介します。
若手の方であれば、第二新卒エージェントneoがおすすめです。第二新卒をターゲットにしているので、新卒で就職から数年くらいの年齢の方であれば、マッチング率が高いです。
dodaは、広く知られている転職サイトで、転職エージェントとしても、転職サイトとしても使うことができます。求人数が多いのがウリです。
アカリクは少し特殊で、修士・博士などの大学院卒の方に特化した転職サイトです。大学院卒の方限定なので、条件を満たしていればマッチングする可能性は他の転職サイトと比べると高いです。
転職活動は、多くの方は人生で何度も行うことは無いと思うので、慎重になるのが一般的です。
私自身、転職経験はありますが、まずは転職サイトに登録して求人を見てみないと始まらないので、転職を考えていらっしゃる方には、転職サイトにとりあえず登録してみるのがおすすめです。
まとめ
この記事では、パワポエンジニアに嫌気が差したら考えてみたいことについて解説しました。
内容をまとめると、パワポエンジニアが成立するのは大企業だからであり、大企業は大きな強みを持っている。
大企業から出て小さな会社で働くことも可能だが、小さな会社で働くことが良いことばかりではない。
会社の看板を外した時に、自分がどれだけ稼げるのかは一度考えてみるべき。
環境を変えたい場合は、転職が選択肢に入ってくる。
パワポエンジニアを続けることが嫌で仕方ないという場合には、私としては転職した方がいいと思います。ずっと、同じ環境で働き続けていても、問題が解決する可能性はほとんどありません。
転職にはリスクが伴いますが、問題が解決しないまま時間だけ過ごしてしまうよりはいい方向が見える可能性が高いです。
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このブログでは、半導体に関する記事を中心に書いています。半導体メモリ業界が中心ですが、興味がある記事があれば読んでみてください。
この記事はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。
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