東京都知事選の選挙ハックで見えてくるもの

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みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。

この記事では、雑記として東京都知事選の選挙ハックで見えてくるものについて書きます。

都民では無いので、都知事選の選挙権は無いんですが、大手メディアは選挙ハックを良くないものとして報じることが多いので、逆の目線で見て見たらどうだろうか?という着想です。

弱小個人メディアなので、書ける範囲が広いことを逆手に取った切り口です。

なお、この記事は政治的な意図は全くなく、選挙ハックによるポスター掲示を批判する報道が多いのに対して、「なぜ」選挙ハックをわざわざ行った目的を探るために書いています。

目次

NHK党の行った選挙ハック

話題になっている、2024年東京都知事選挙でNHK党が行った選挙ハックについて簡単におさらいします。

NHK党が行った選挙ハックは、東京都知事選に24人の候補者を立てて、24人分の候補者ポスターの掲示上に様々なポスターを掲示したことです。

同一の政治団体が、複数人の候補者を立ててポスター掲示板を埋めることは、現行法では想定されていないでしょうし、従来も行われてきませんでした。

一方で、東京都知事選は被選挙権がある人が300万円の供託金を払えば、誰でも立候補できます。

注目すべきは、同一の政治団体が複数人の候補者を立てて、さまざまなポスターを掲示することを現行法では取り締まれないことです。

突飛なことをやること自体は立候補すれば可能ですが、現行法で取り締まれないギリギリの線を攻めるのは、相当法律に詳しくないとできないことです。

立候補者が増えても有権者は困らない

そもそも、東京都知事選挙は有権者が約1000万人いる選挙であり、立候補者は従前から多いことで有名です。

大手メディアの報道では、NHK党の行ったことを選挙ハックだとか泡沫候補を複数立てるのは選挙の趣旨に合わないということが報じられがちです。

実際問題、選挙ハックで立候補している候補者の方は、当選する確率は非常に低いと考えられます。

一方で、有権者の立場から見ると、選挙に立候補する人が増えても困ることは基本的にありません。投票する候補者の選択肢がある程度無いと、投票したい人がいない状況になりがちです。

極端な例ですが、田舎だと立候補者が2人しかいない選挙もありえるわけです。立候補者が2人しかいなければ、有権者の取れる行動は3つしか無く、2人のどちらかに投票するor白票になります。

立候補者が2人しかいない状況と比べると、50人以上選択肢があるのは有権者からすれば選択肢が増えます。有権者1人当たり1票なので、自分が投票したい人に投票すればいいわけです。

現行法に対する問題提起

都知事選は従来から立候補者が多い選挙でしたが、20人以上の候補者が同じ政治団体から立候補したのは初めてでしょう。

選挙ハックの是非は抜きにして、現行法に対する2つの問題提起をしてくれていると考えています。

・ネットが普及した現代に候補者ポスター掲示は不要
・都知事選の供託金300万円は安すぎる

ネットがこれだけ普及した現代に、ポスター掲示は不要だと私は感じています。公職選挙法が考えられた時代は、ネットが普及していなかったので、ポスター掲示が必要だったんでしょう。

また、都知事選の供託金300万円が安すぎるというのも、一つの問題提起だと考えています。

昔から、東京都知事選挙に立候補者が多い理由は明らかで、供託金300万円を払ってでも立候補することによる広告効果が見込めるからです。

都道府県知事選挙では、どの都道府県でも供託金は300万円に設定されています。有権者の人数を考えると、東京都が一番割が良いのは間違いないでしょう。

(とはいえ、24人の立候補のためには7200万円の供託金を払う必要があるので、相当な額ではあります。)

全県人口が100万人を切っている都道府県もある中で、300万円を払うのであれば1000万人の有権者に対してアピールできる東京都を選ぶのは、合理性が高いです。

今後、選挙ハックのようなことは、法改正でできなくなる可能性も大いにあると思いますが、一つの問題提起をきっかけにして法改正が進めば、現代に即した選挙制度に変わっていくと考えれば良いことでしょう。

投票率が上がると困る人・助かる人

東京都知事選挙について少し具体的に考えてみます。

2024年選挙時点での有権者数は約1000万人です。直近2回の投票率は55-60%です。仮に60%の投票率だと仮定すると、300万票取れればほぼ当確です。

一般的に、投票率が下がれば組織票を持っている候補が有利になりますし、投票率が上がれば逆です。

例えば、組織票を50万票持っている候補のことを考えてみましょう。全有権者に対する組織票の割合は約5%ですが、投票率が50%の場合、組織票の割合は投票数の10%近くまで上がります。

投票率が上がると、当落ラインに必要な票数が増えるので、組織票に対して上積みしないといけない票数が増えて、組織票を持っている候補から見ると不利になります。

逆に、組織票が弱い候補は、投票率が上がると相手候補が持つ組織票の全体に対する比率が薄まるので戦いやすくなります。(相手候補の持つ組織票は、基本的に自分には入らない票だからです。)

壮大な社会実験

投票率のことを少し取り上げました。選挙ハックは、東京都知事選を舞台にした壮大な社会実験ではないかと、私は捉えています。

表向きには現行の選挙制度に対する問題提起、隠れた目的は従来選挙に行っていなかった層に投票してもらって投票率を上げることです。

現行の選挙制度に対する問題は、既に述べたとおり、ポスター掲示が不要で、供託金が安いことです。

裏の目的は、選挙ハックをすることで、大手メディアが取り上げることで、従来選挙に行っていなかった層に投票してもらって、投票率を上げることです。

投票率が50-60%の場合、有権者の半分程度しか投票していないことになります。この場合、組織票を持っている候補が有利です。

一方、投票率が100%に近づけば近づくほど、組織票の実効的な力が相対的に下がります。また、従来選挙に行っていなかった層を取り込むことができれば、かなりの票数を集めることができます。

極端な話、東京都知事選の投票率が60%だったとすると、投票していない40%を全て集めれば400万票になり、ほぼ当確です。

選挙ハックでメディアに取り上げられることで、有権者への知名度を上げ、従来投票に行っていなかった層にどの程度浸透できるか?を試しているのではなかろうかと私は考えています。

最終的に判断するのは有権者

選挙ハックについて書いてきましたが、選挙は最終的に有権者の投票で結果が決まります。

選挙活動がどうであろうと、公約がどうであろうと、最終的に有権者である私たち一人一人が投票することでしか、結果は決まりません。

ポスター掲示板をどうしようと、政見放送がどうであろうと、それを見て投票するのは有権者なので、1票を投じるに値すると思う候補者に対して投票すれば、それでいいわけです。

おそらく、ポスター掲示板を埋めたあとは、24人分枠がある政見放送で何かしら仕掛けがあるでしょうが、結果を決めるのは有権者の1票であることを認識していれば、特段問題にはならないと私は考えています。

まとめ

この記事では、東京都知事選の選挙ハックで見えてくるものについて書きました。

ポスター掲示板を埋めていること自体は賛否はあると思いますが、現行の選挙制度に対する問題提起をしていることは間違いないです。

法改正をできるのは、立法府である国会だけなので、国会議員を選ぶ時に公職選挙法についてどう考えているのかを一つの基準にすることもできるのではないでしょうか。

このブログでは、普段は半導体の記事を書いていますが、時々こんな記事も書いています。

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この記事はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。

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