半導体デバイスを作るうえで重要なリソグラフィについて解説~原理編~

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みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。

この記事では、半導体デバイスを作るうえで重要なリソグラフィの原理について解説します。

リソグラフィは、半導体デバイスを作るときに必ず使われる重要な技術です。しかし、意外と何をやっているのかはわかりにくいです。簡単に説明されていることはありますが、リソグラフィの難しさはなかなか理解するのが難しいです。

そこで、3本立ての記事でリソグラフィについて、原理から何が難しいのか、そしてどんなメーカーが強いのかまでを解説していきます。この記事は3本構成の1本目で、原理にフォーカスして解説します。

目次

リソグラフィーの原理

そもそも、リソグラフィーはどのようなことをやっているのかを簡単に説明するとこの3つです。

【リソグラフィーの原理】
・感光性の有機材料(レジスト)をコートする
・レジストに光を当てる(露光)
・光が当たったところと当たってないところを分ける(現像)

大まかに言うと、原理は昔の写真フィルムと同じです。(フィルムカメラを使ったことない世代の方は、ごめんなさい)

光が当たったら感光する材料にレンズを通して光を当てて、現像することで感光した部分と感光していない部分を分けるところまでやって、一通りの流れです。

レジストコート

リソグラフィーの一番最初は、感光性の有機材料(レジスト)を露光したい部分の表面に塗ることです。イメージしづらいと思うので、わかりやすい動画があります。

引用しているのは、ミカサ株式会社さんのスピンコートの動画です。動画の中で、真ん中に落とされている赤っぽい液体がレジストです。レジストを塗布したい基板の中央付近に落としたあと、基板を回転させて基板表面に均一な厚さになるようにレジストをコートします。

レジストは、光に当たると感光する性質を持っています。動画の中で、照明が黄色っぽいのはお気づきでしょうか。実は、レジストは紫外線が当たると感光するようになっています。市販の蛍光灯には、紫外線の光も含まれているので、レジストが観光しないように照明が黄色い光になっています。(通称イエローライトと言います。)

半導体工場の中でもリソグラフィーを行っている場所は、イエローライトになっています。イエローライトの空間にずっといると、いろんなものの色がいつもと違って見えるので、少し違和感を感じます。(そのうち慣れますが。)

レジストコートを模式的に描くとこのようになります。

レジストを塗布したい基板の上に、レジストを落として、基板を高速回転させて基板上にレジストを均一に塗布します。

断面を見ると、こんなイメージです。

スピンコートすることで、円盤状の基板に対して、均一にレジストを塗ることができます。

露光

基板の上にレジストがコートできたら、次は露光を行います。

露光自体をわかりやすく解説している動画が見当たらなかったので、模式的に説明します。露光は、レジストをコートした基板に光を当ててレジスト感光させるのが目的です。

レジストは、光が当たったところが感光するので、露光を行うとレジストに光が当たったところと、当たっていないところを分けることができます。基板上に配線や加工したい形状を作るのがリソグラフィーの目的です。

イメージとしては3つのステップに分かれます。

あらかじめ、露光して作りたい形状を描いたマスクを作っておき、マスク越しに光を当てます。そうすると、光が当たる分と当たらない部分を作ることができます。図にすると、こんな感じです。

露光後の基板を上から見ると、何かしらのパターンが描かれています。

模式的に描いているので適当ですが、線を描くと左側のようなパターンになりますし、穴を描くと右側のようなパターンになります。

このようにして、露光することで基板上に何かしらのパターンを転写するわけです。

現像

リソグラフィーの最後は、現像です。現像は、先ほど露光したレジストを感光した部分と、感光していない部分を分けるために行います。

レジストには、現像した時に感光した部分が残る「ネガ」と感光した部分が無くなる「ポジ」の2種類があります。今回は、わかりやすさを重視して、感光した部分が無くなる「ポジ」の場合を解説します。ネガの場合でも、残る部分が逆になるだけです。

レジストがポジの場合、感光した部分は現像すると無くなります。先ほど露光して感光した部分を無くして見ると、このようになります。

左側の図が露光してレジストが感光した状態で、右側の図が現像して感光したレジストがなくなった状態です。断面としては、実物もこんな感じになっています。(本当は、レジストにテーパーがつくのでこんなにきれいには落ちませんが、細かい話になるので、次回以降の記事で書いていきます。)

リソグラフィーを行う目的は、基板上に何かしらのパターンを描くことでした。現像後の基板を上からみると、このようになっています。

露光して感光させたレジストがなくなるので、レジストが残っている茶色の領域と、基板が見えている灰色の領域に分かれます。

露光機の種類

ここまで、リソグラフィーの原理的な説明を簡単にしてきました。
半導体デバイスを作るうえで、露光が一番肝になります。その理由は、配線の幅が狭くなればなるほど、露光するのが難しくなるからです。

露光装置が使っている光源の波長で区切られることが多いです。現状、使われているのは6種類くらいです。

・g線
・i線
・KrF
・ArF
・ArF液浸
・EUV

上から下に行くにしたがって、露光時の光の波長が短くなっています。細かいところは、次回以降解説しますが、露光機を分類する時には6つに分かれることがわかっていれば、とりあえずはOKです。

リソグラフィーは技術とノウハウの結晶

リソグラフィーの基本的なやり方は、レジストを塗布して露光して現像する3つのステップです。

簡単にすると3つだけなんですが、レジストの処理方法にもノウハウがありますし、露光時の条件等も色々調整が必要です。また、露光時に使うマスクの設計も非常に高度なものになっています。

原理的な理解はしやすいですが、実際にリソグラフィーをやろうとすると、非常に高い技術(お金も)とノウハウが必要になってきます。この辺が、リソグラフィーの難しいところなんです。

簡単な原理的な解説はできたと思っているので、次回以降この辺の「難しさ」にフォーカスしていきます。

まとめ

この記事では、半導体デバイスを作るうえで重要なリソグラフィの原理について解説しました。

原理の部分にフォーカスして、簡単に解説したので、どんなことをやっているのかはお分かりいただけたのではないかと思っています。次回は、リソグラフィーの実用編として、実際にリソをやろうとすると何が難しいのかを解説していきたいと思います。

記事に関して、誤記などがあればコメントいただけると嬉しいです。

このブログでは、半導体に関する記事を他にも書いています。半導体メモリ業界が中心ですが、興味がある記事があれば読んでみてください。

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この記事はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。

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