みなさんこんにちは、このブログを書いている東急三崎口です。
この記事では、半導体メモリメーカーが2024年1-3月期の決算発表に入るので、各社の決算の見どころを簡単に紹介します。
半導体メモリメーカーの決算発表スケジュール
2024年1-3月期の決算発表のスケジュールはこのようになっています。
Micronは、決算期がずれているので4月末から5月初旬には発表されません。
・SK Hynix:2024/4/25 9:00
・Western Digital:2024/4/25 13:30(現地時間)
・Samsung:2024/4/30 10:00
・キオクシア:未発表(例年5月上旬)
4月後半に決算発表が集中していることがわかります。
キオクシア以外は上場しているので、上場している市場での株価等も決算発表の数字を織り込んだものになっていくと思われます。
私としては、株価の上下には興味は無いので、技術と財務の面から書いていきます。
各社の見どころ
ここでは、簡単にメモリメーカー各社の2024年1-3月期決算の見どころを書きます。
Samsung
Samsungの決算発表の中での見どころは、DS部門が黒字転換するかどうかです。
全社で見ると大きな会社ですが、半導体デバイスに関してはDS部門という括りでまとめられています。
DRAM・NANDの半導体メモリと、ロジックLSI、ファウンドリをまとめて、DS部門の業績として公表されています。
Samsungは、DRAMとNANDの個別の売上高を公表していません。Trendforceなどの分析による記事はありますが、公式発表は無いのです。
DRAM・NANDともに、トップシェアを持っているSamsungの売上高が公表されていないのは残念です。
2つのメモリでトップシェアを持っているが故に、メモリ不況ではダイレクトに影響を受けて、直近4四半期連続の赤字となっていました。
メモリ市況が足元では好転しているとの報道もあるので、メモリとして黒字転換できたのかどうかが、Samsungの決算を見るうえではキーポイントになってくるでしょう。
SK Hynix
SK Hynixの見どころは、HBMの好況による売上増加が、どの程度まで行ったかです。
Samsungと違って、SK HynixはDRAMとNANDの売上比率が7:3くらいなので、圧倒的にDRAM市況の影響を強く受けます。
DRAM自体も不足感が出ていますが、特に生成AI向けに使われるGPUに載っているHBMの需要が高まっているようです。
HBMは製造の難易度が高くなりますが、値段は高く売れるのでDRAMメーカーが各社力を入れています。
その中でも、SK HynixはHBMに力を入れているようなので、どの程度決算へ好影響が出てくるのがが、非常に気になります。
Western Digital
Western Digitalの決算発表の見どころは、NAND部門の赤字がどの程度で済むかです。
2024年下半期で、NAND部門を分離(正確にはスピンアウト)することが決まっているので、半年後にはWestern DigitalのNAND部門ではなく、NAND部門単体の会社になります。
そうなることを前提に考えると、NAND部門単体でどの程度利益が出ているのか?ということは、重要な意味を持ちます。
NAND部門は、キオクシアと前工程のチップ製造で協業していますが、NANDフラッシュメモリ一本足の会社になるため、NAND単体で利益を出していくことが今後必要になります。
あとは、先期(2023年10-12月期)の決算では、コベナンツ条項に抵触していたことが書かれていたので、その辺がうまくいっているのかも要注意です。
キオクシア
キオクシアの決算発表の見どころは、2023年度3月期の決算がどの程度の赤字で済むかです。
4月始め、3月終わりの決算期を採用しているので、キオクシアからすると、2024年3月は通年決算の発表になります。
ここまでの3四半期の決算を見るに、2023年4月から2024年3月の通年決算は赤字になることがほぼ確定しています。
とはいえ、どの程度の赤字額で済むのか?というのは見どころです。
上場していないので、ちゃんとして貸借対照表や損益計算書は公表されていませんが、会社発表の概算資料である程度見ていくことはできます。
2023年10-12月期の決算記事
各社の決算発表が始まりますが、2023年10-12月期の決算について解説した記事を各社の分載せておきます。
興味がある方は読んでみてください。
まとめ
この記事では、2024年1-3月期の半導体メモリメーカーの決算発表の見どころを解説しました。
2024/4/25のSK Hynixを皮切りに、決算発表ラッシュが始まります。各社の決算が出次第、解説記事を書いて行く予定なので、興味があれば読んでみて下さい。
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このブログでは、半導体に関する記事を他にも書いています。半導体メモリ業界が中心ですが、興味がある記事があれば読んでみてください。
この記事はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。
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